日銀のマイナス金利導入で短期相場見通しは急転換
日銀のマイナス金利導入発表で短期見通しは急転換。しかし、このまま上昇が続くかどうかのキーポイントはやはり米国の金利動向です
ちなみに日経平均の株価チャートを見ると、1月27日(水)終値時点でフォロースルーが出ており、買いサインが点灯していました。フォロースルーとは下落トレンドが再び上昇トレンドに戻るために必要な株価と出来高を組み合わせたシグナルです。株価が底から出来高を増して力強く反発し、その後の反落で直近安値を下回らず、再び出来高を増して直近高値を上抜けていくとフォロースルー完成です。
今回の日経平均の例で言えば、1月22日(金)に日経平均は+941円高の力強い上昇となり、1月25日(月)も小幅に上昇し、1万7千円台を回復していました。1月26日(火)には▼402円安と反落し、1万6千円台に逆戻りしましたが、その日の売買代金は大きく下げ、それまでの大商いで売り込まれたような印象は影を潜めました。そして、1月27日(水)は前日の大幅安を超える上昇幅となる+455円高で、1月25日(月)に付けた高値を抜け、さらに売買代金は前日を大きく上回る強いものでした。この時点でフォロースルーが完成したことになり、短期トレンドは上昇転換となっていました。
もっとも、今回は結果的に日銀がマイナス金利を発表したことから、本当に上昇トレンドになっただけという見方もできます。実際のところ、マイナス金利導入は5対4の投票で決まりましたので、逆に反対多数となる可能性もあったわけです。しかし、日銀がサプライズを出してくる可能性が、それなりにあると見ていた大口投資家がいたので、フォロースルーが出現していたと見ることもできると思います。つまり、結果を確実に予想することなど、もちろんできる訳はないのですが、その予兆を株価チャートから察知することはできたわけで、常に相場の状況をチェックし続けることは非常に重要と思います。
短期トレンドは上昇基調に転換も長期トレンドは下落基調のまま
思えば2015年12月から続いていた短期下落トレンドは相当に強いものでした。12月初めには2万円をつけていた日経平均は1月21日には1万6000円まで下落し、約2ヶ月で、概ね▼4,000円もの下落となっていたのです。しかし、今回の株安の危機も中央銀行(今回は日銀)が救ったことになります。今回の日銀のマイナス金利導入発表で、短期相場見通しは上昇トレンドになったものと思いますが、今のところ、長期トレンドは下落トレンドに入ったままです。日経平均の長期チャートを見ても、200日移動平均線を50日移動平均線が下に突き抜けるデッドクロスが発生している上、15年8月のショックで大きく下落していた日経平均は12月にかけて反発したものの、200日移動平均線前後で頭を抑えられて、8月につけた直近高値を抜けきれないまま大幅下落という、長期下落トレンド時特有の値動きです。
そして、長期下落トレンド中の短期上昇トレンドは、50日移動平均線や200日移動平均線を越えられずに終わる可能性も高いものです。そして次に、短期下落トレンドに転換した際に今回の上昇幅を上回る下げとなるのが長期下落トレンドです。2008年金融危機の時も2~3ヶ月ほど強力に上昇した一時的場面がありましたが、その時も200日移動平均線に頭を抑えられる形となり、その後はそれを上回る強烈な下げに見舞われました。
今後のキーポイントはやはり米国の利上げ動向
今回の上昇トレンドが長期的な上昇トレンドに転じられるかどうかのキーポイントは何かというと、やはり米国の利上げのペースだと思います。もしも、利上げを当面見合わせるなどの市場に優しい内容が示唆されれば、世界的に株価は再び長期上昇トレンドに入っていける可能性があります。しかし、そうでなければ、長期下落トレンドが続く可能性があり、その中で日銀や欧州中央銀行がカンフル剤的に追加金融緩和を行って短期的な反発が演じられては、再び下落していくという成り行きになることも予想されるところです(もちろん、追加金融緩和をやっていくうちに日本や欧州の景気に火がつき、世界的な業績相場に転じる可能性もあります)。なお、米国の長期金利の動向を見ると、利上げが難しいと見る向きが増えてきているように思います。利上げで一時上昇に向かった長期金利は、1月の株安を受けて下落基調に転じており、1月29日(金)の10年国債利回りは2%を割り込んで1.92%まで下がりました。これは利上げ継続は難しいのではないかという見方が強まってきたことを示唆しています。そして、金利低下を受けて、配当利回り妙味のある公益株セクターやREIT、そして金利のつかない金の価格も上昇しています。これらは全て利上げを睨んで下がってきたものです。
参考:日本株通信
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