住宅ローン控除/住宅ローン控除はこう受ける!

2016年住宅関係の税制改正は空き家対策と3世代同居

平成28年度の税制改正内容について、平成27年12月24日に閣議決定されました。新たに創設された住宅に関係のある内容について解説します。

中村 諭

執筆者:中村 諭

住宅ローンガイド

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 これまでは売るに売れなかった!空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設

実家の売却に3000万円特別控除

実家の売却に3000万円特別控除

自宅の売却時に売却益がでる場合には3000万円まで特別控除が使えますが、ひとり暮らしの親が住んでいた実家を子が相続し、相続した家を売却したケースではこの特別控除は使えませんでした。

自宅の売却益とは、簡単にいうと売却価格から購入価格を引いた額となります。(実際には、減価償却なども加味します。)この時に、実家の取得時期が古くて「いくらで購入したのか」といった「購入価格」が分からないケースは多く、亡くなった親などから相続した住居とその敷地を売却しようとしたときに、その不動産の購入価額の証拠資料が無い場合には、売却時の価格の5%を取得価格とみなされてしまいます。

つまり、売却価格の95%が利益とされ、この利益に対し税金が掛けられてしまうので、売却したくてもできない状況に陥ります。売りたいのに売れない人が増えれば、そのまま空き家が増えていきます。そこで、空き家を増やさないために、親などから相続した住居用家屋やその土地を売却した場合、一定の条件のもと譲渡所得から3000万円を控除できることとしました。

【条件】
  1. 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(マンションは対象外)
  2. 平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡すること
  3. 相続してから3年目の12月31日までの譲渡であること
  4. 譲渡の際の価額が1億円以下であること
  5. 相続から譲渡までの間に「事業」「賃貸」「居住」に使われていないこと
  6. 譲渡の時において地震に対する安全性に係る規定またはこれに準ずる基準に適合するものであること

※家屋と共に譲与する「その家屋の敷地に供されていた土地」は対象となりますが、家屋の無い土地だけの場合は、空き家対策にならないため対象外です。

まとめ

簡単にまとめると、一人で住んでいた親が亡くなり、その一戸建てを相続した場合に、「耐震改修工事」を施して売却するか、もしくは家を取り壊して「更地」にして売却する時に、その売価が1億円以下であれば、3000万円まで売却益を差し引いてくれる制度が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの期間限定で創設されました。

住居の三世代同居改修工事等に係る特例の創設

三世代同居へのリフォーム

三世代同居へのリフォーム

自己所有の家屋で「三世代同居」を目的とした一定のリフォーム工事(キッチン、浴室、トイレ、玄関の増設工事でいずれか2つ以上が複数個所の設置になる工事)を実施したときに、一定の条件のもと所得税額の控除を受けられる制度の創設です。

控除方法は5年間のローン控除、もしくは1年限りの税額控除となります。

●ローンを組む場合 【条件】
  1. 平成28年4月1日~平成31年6月30日までに改修すること
  2. 台所、風呂、トイレ、玄関のうち、2つ以上を増やす工事を行うこと
  3. 借入金は5年以上であること
  4. 三世代同居改修工事であることの証明を評価機関等からもらうこと

【控除額】
  • 最大62万5千円
(1) 「三世代同居改修工事ローン」について、年末ローン残高の2%×5年間(ローン残高は250万円が上限)
(2) 「それ以外のローン」について、年末ローン残高の1%×5年間(上記(1)と合わせてローン残高は1000万円が上限)

●現金でリフォームする場合 【条件】
  1. 平成28年4月1日~平成31年6月30日までに改修すること
  2. 台所、風呂、トイレ、玄関のうち、2つ以上を増やす工事を行うこと
  3. 三世代同居改修工事であることの証明を評価機関等からもらうこと

【控除額】
  • 最大25万円
「三世代同居改修工事費用」に伴う標準的な工事費用の10%
(工事費用は250万円が上限)

既にある実家のリフォーム、or 物件購入しての一般の住宅ローン控除の選択が考えられます。政府主導で三世代同居の後押しです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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