子育て/子育てに役立つ最新心理学

子供にとって最高のご褒美は?オモチャ、それとも…?

親は子供のモチベーションを上げるために、「~~したら、○○をあげる」とご褒美を提示してしまうことがあります。しかし、このパターンが常習化してしまうと、後々、悪影響が出てくることも分かっています。では悪影響を出さないご褒美の用い方はあるのでしょうか? 今日は、子育て心理学から見た「ご褒美のあるべき姿」についてお伝えしていきたいと思います。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

ビッグなご褒美の方が、子供は頑張れる!?

ご褒美は間違った用い方をすると、メリットがないばかりか、逆にデメリットが!

ご褒美は間違った用い方をすると、メリットがないばかりか、逆にデメリットが!

「~~したら、○○をあげる」のように、お子さんのやる気を引き出すためにご褒美作戦を使っているご家庭も多いと思います。そして、達成しようとしていることの難易度によって、ご褒美のレベルに変化をつけることもあるでしょう。

たとえば、
「明日の朝、泣かないで幼稚園に行けたら、帰りにアイスを買ってあげる」
「今度の発表会、完璧だったら、○○のカードを買ってあげる」
「来週のテスト、100点だったら、あのゲームを買ってあげる」

のような感じです。このように、ご褒美の質をグレードアップさせていく理由は、「大きなご褒美の方が、子供がもっとやる気になる」と感じるから。中には、「子供をやる気にさせるには、それ相応の対価が必要」と、このやり方を当然のこととして用いている方もいるでしょう。子供の方も、この状況をよく読んでいて、「今度100点だったら、○○を買って!」とリクエストしてきたりします。

 

「~~したら、○○をあげる」が起こす弊害

しかし、これは後々になって問題になってきます。というのも、その子は、物で動くことに慣れてしまうため、将来、報酬が得られないとなかなか腰が上がらない大人になってしまう可能性が高いのです。実際、この記事『ご褒美を習慣にすると子供に何が起こる?』でもご紹介したように、ご褒美に「物」をもらって育つと、大人になって物質依存症になりやすいことが分かっています。

「ご褒美にオモチャをあげる」のような外発的な動機づけを行うことによって、内発的なやる気が低減する現象を、心理用語で「アンダーマイニング効果」といいます。物をぶら下げてやる気にさせるのは、子供の本来のやる気をも損なわせてしまうほどの怖い影響力があるので、注意が必要なのです。

 

子供のやる気を損なわないご褒美とは?

ここまで読むと、ご褒美はすっかり「悪者」ですが、そんなことはありません。正しく用いることで、子供のやる気を上手に育むことができます。

心理学の研究で分かっているのは、アンダーマイニング効果は”物”で起こりやすく、物ではないご褒美だと起きないということ。要は、“物“ではないものをご褒美として活用すべし、ということです。ここで、子供の心に健全なご褒美をいくつかご紹介しましょう。
  • キッチンでママとクッキーを作る
  • 少し遠いけれど、大好きな公園まで足を延ばす
  • 10分間、夜更かしができる
空間や時間は、目には見えないけれど貴重なもの。それをうまく活用するのがコツです。

これらのご褒美を”物足りない”と感じてしまった方、もしかしたら物に頼るクセがつき始めてしまっているのかもしれません。それをリセットする意味もこめ、最後に、心理学から見た「子供が一番欲しいもの」についてお伝えしたいと思います。

 

子供が一番欲しいものはすぐ近くにある!

子育て心理学では、子供がもっとも欲しているものとして、「親の目線」を挙げています。「ニッコリ笑顔を向けられる」「ほめ言葉をかけられる」などは、ここに含まれます。あまりにも自分に目線が向けられていないと、怒られるようなことをやってでも親の注意を引こうとすることさえあります。それくらい、子供たちは、「見てもらいたい」と切実に思っているのですね。「ママ、見て~」という言葉、子供が頻繁に発しますが、あのような形で、正直に自分の欲しいものを訴えているのです。それを踏まえると、物をあげるよりも先に満たすべきものが見えてきます。

子供の「ママ、見て~」に対し、「その気持ちはわかるけれど、全部付き合ってはいられない」と思う方もいらっしゃるでしょう。確かに、子供は24時間ママが見守ってくれることを期待しているのですから、全てを叶えることは現実的に不可能です。ごはんを作り、洗濯をし、掃除もしなくてはいけないですから。でも、スマホをいじっているときやママ友とおしゃべりをしているときだったら、それをいったん止めて、振り返ることはできますね。「ママの目線」、これは、子供にとって、物では置き換えられない貴重なもの。目に見えないものこそ、子供が本当に欲しているものなのです。

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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