日本代表・Jリーグ/Jリーグ 最新コラム

2016年Jリーグは監督達の交差するサッカー人生に注目

2016年のJ1リーグ開幕に向けて、参加18チームが続々と動き出している。2月27日の開幕までに抑えておくべき見どころを、これから随時紹介していく。第1回はチームを率いる監督にまつわるトピックスをお伝えしよう。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

日本代表・Jリーグガイド

元日本代表が監督としてピッチで再会する

今年のJ1には、現役時代にW杯に出場したことのある監督が2人いる。アビスパ福岡の井原正巳(48歳)、ジュビロ磐田の名波浩(43歳)両監督だ。ともに1998年のフランスW杯のメンバーで、井原監督はキャプテンを務め、名波監督は背番号10を背負った。

福岡は2011年以来のJ1昇格で、磐田は13年以来の復帰である。どちらも久しぶりのJ1だけに、残留が大きな目標となるだろう。その意味では直接的なライバルとなる可能性が高い。

ともにJ2を戦った昨季は、井原監督の福岡がホーム、アウェイともに勝利を飾った。舞台をJ1へ移した2016年、日本代表で一時代を築いたふたりの激突はどのような結果になるのだろうか。

日本代表の経験者は、彼らふたりだけではない。

昨年のリーグチャンピオンであるサンフレッチェ広島の森保一監督(47歳)、同2位のガンバ大阪の長谷川健太監督(50歳)は、1993年に行なわれたアメリカW杯アジア最終予選のメンバーである。井原監督も同様だ。日本サッカーの歴史に刻まれた“ドーハの悲劇”(※)の登場人物なのである。

長谷川監督と井原監督には、さらにつながりがある。どちらも筑波大学の出身で、長谷川監督が二学年上なのだ。先輩には意地があり、後輩にも譲れない思いがある。ガンバ対福岡戦は、両チームのベンチでも闘志がぶつかり合う。

名古屋グランパスの小倉隆史監督(42歳)も、1990年代中期に日本代表としてプレーした。古巣の新監督としてJリーグに戻ってきた彼は、磐田の名波監督と同世代である。新世代の指揮官と言っていい彼らのチーム作りは興味深い。

※1993年10月28日に行われたイラクとのW杯最終予選最終戦で、日本はロスタイムに失点を喫してW杯出場を逃した。試合が行われたのがカタールの首都ドーハだったことから、“ドーハの悲劇”と言われている。


師弟対決や古巣対決も数多い

昨年のJ1で年間4位のFC東京と、2年ぶりのJ1復帰を果たした大宮アルディージャの対戦も、監督同士のつながりが勝負を盛り上げる。

FC東京の監督に復帰した城福浩監督(54歳)は、12年から14年までヴァンフォーレ甲府の監督を務めていた。当時のコーチを務めていたのが、大宮アルディージャの渋谷洋樹監督(49歳)なのである。互いに手の内を知るふたりは、2月27日の開幕カードでいきなり対戦することとなった。

甲府が結びつけるふたりの縁には、甲府の佐久間悟監督(52歳)も無関係ではない。佐久間監督は08年途中から甲府のテクニカルディレクターやゼネラルマネージャーを歴任し、城福、渋谷両監督を甲府へ招へいした本人である。彼ら3人にはそれぞれに、負けられない理由があるはずだ。

ヴィッセル神戸のネルシーニョ監督と井原監督も、同じチームで仕事していた間柄だ。65歳のブラジル人が柏レイソルの監督を務めていた09年から14年まで、井原監督はコーチとしてネルシーニョ監督を支えていた。ふたりがベンチに別れる神戸対福岡戦はもちろん、それぞれが柏に挑むゲームもファン・サポーターの関心を集めそうだ。

マッシモ・フィッカデンティ監督(48歳)も、16年は古巣対決に臨む。今年からサガン鳥栖を統べるこのイタリア人は、14年から15年までFC東京の指揮官だった。保有戦力で上回る古巣を相手に、フィッカデンティはどんなサッカーで挑むのか。両チームのファン・サポーターならずとも気になるカードだ。

浦和レッズのミハイロ・ペトロヴィッチ監督(58歳)も、かつてはサンフレッチェ広島を指揮していた。広島の森保監督が、彼のもとでコーチを務めていた時期もある。

森保監督が就任4年で3度のリーグ優勝を果たしているのに対し、ペトロヴィッチ監督は広島、浦和で合計10シーズンを戦いながらJ1の頂点に立った経験がない。そして、両チームを結びつける糸は監督にとどまらない。浦和と広島を巡る因縁は、また別の機会に触れることとしよう。

かつての僚友が激突するカードもある。湘南ベルマーレ対アルビレックス新潟だ。

湘南のチョウ・キジェ監督(47歳)と新潟の吉田達磨監督(41歳)は、現役時代に柏レイソルのチームメイトだった。互いのサッカー観に共鳴するふたりは、それぞれが理想とするスタイルをピッチ上でぶつけ合う。吉田監督が柏の監督だった昨年も、湘南戦では好勝負が演じられた。

国内最高峰のJ1リーグで監督を務めるほどの人材ならば、現役時代か引退後を問わずにどこかでサッカー人生が混じり合うものだ。監督たちが胸に秘める思いを感じながら観戦すると、Jリーグのゲームにまた違う味わいが生まれてくる。
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