イギリス料理は、インド料理?
あなたはイギリス料理と聞いて何を思い浮かべますか。フィッシュ&チップスでしょうか? 実は、イギリスにはインド料理店が大変多く、イギリス人にとってインド料理は大変身近な存在なのです。そのため英語圏では、「世界で一番美味しいインド料理はイギリスで食べられる」と思っている人も少なくありません。例えば、イギリスへの観光客で、米国は国別ランキングで常に上位なのですが、インド料理を楽しみにやって来るアメリカ人も多いのです。2016年1月現在、ミシュランの星を持つインド料理店は世界でわずか9店。その中で、インド料理店として世界で初めてミシュランの星を獲得したことで有名なのが、『TAMARIND(タマリンド)』。ロンドンの高級エリアであるメイフェアにお店を構える同店は、イギリスのインド料理文化の象徴的存在といっても過言ではありません。“インド料理=ナンとカレー”というような既成概念を覆す、高級インド料理を取材しました。
料理長が語るタマリンドの魅力とは?
タマリンド・メイフェアの料理長であるピーター・ジョセフ氏。インド東部のタミル・ナード出身の彼は、元々は学者志望だったそうですが、TVの料理番組に影響を受けて、シェフの道を志します。渡英後、2004年にタマリンドのシェフの仲間入りをして、2012年からタマリンド・メイフェアで料理長を務めています。趣味は、家庭で中華料理を作ることだとか。ガイド:タマリンドのインド料理の特徴を教えてください。
ジョセフ氏(以下敬称略):「タマリンド」の料理は、ムガール王朝料理をベースにしています。ムガール王朝料理とは、インド料理の中で最も贅沢で歴史がある料理として知られています。
ガイド:なるほど。インド料理というと、単にカレーのイメージでしたが、タマリンドで味わえる料理は、日本でいうとさながら懐石料理というところですね。
ジョセフ:ムガール王朝料理の特徴は、北西インドの本格的なタンドーリオーブン(タンドール)を使って調理される新鮮な魚と肉です。
ガイド:お店のモットーのようなものはありますか?
ジョセフ:伝統の料理スタイルを守りつつ、一方で、1つの料理スタイルにこだわりすぎず、様々な選りすぐりの素材を使い、インド料理を包括的に捉える調理法大切にしています。また、ロンドンという土地を考慮し、ヨーロッパ人に合った味付け、そして斬新なプレゼンテーションも大切にしています。常に新しいアイデアを模索しています。
ガイド:ロンドンという土地柄、意識することは?
ジョセフ:お客様の80%がヨーロッパ系です。ですから、スパイスの量はほどほどを心がけています。スパイスは本場インドからすべて取り寄せています。その他の食材は、新鮮な高級食材を地元イギリスで仕入れています。
ガイド:AllAbout読者にメッセージを。
ジョセフ:私が絶対の自信をもって調理している本場の高級インド料理を是非味わいに来てください。
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