ランジェリー・下着/海外ブランドのランジェリー

1950-70年代のフレンチ・ランジェリーの進化

フランスのアンティークランジェリーって本当にお洒落。ランジェリーは、ファッションとともに進化し、女性を魅力的にしてきたのです。1950年代から1970年代までのランジェリーの変化を紹介します。

土井 千鶴

執筆者:土井 千鶴

ランジェリーガイド

下着がファッションとともに進化した、1950~1970年代

フレンチ・ランジェリー展

1960年代70年代のお洒落なランジェリー

現代のファッションにおいて、パリの女性と日本の女性の洋服は、それほど差はありません。銀座や表参道で見かける女性たちは、パリの女性たちよりもお洒落を楽しんでいるように見えることすらあります。

しかし、ランジェリー・下着のお洒落となると少し違います。

下着は、ファッションの変化とともに変化してきていますが、日本の女性下着の歴史は、戦後に始まったばかり。

理由としては、日本の女性たちが本格的に洋装になったのは戦後のことで、日本の下着は、その生活スタイルやファッションの変化に合わせて変化してきたのです。

コルセットが現在の下着に変わった歴史は、記事「下着の歴史とフレンチ・ランジェリーの魅力」に掲載しました。その後の第二次世界大戦後のフランスの下着の歴史を紹介します。

2014年の夏に行われた、フランスのランジェリーの歴史が詳しく見ることが出来る貴重な展示会「フレンチ・ランジェリー展 TOKYO 2014」の写真から、読み解いていきましょう。

「ニュールック」の誕生とともに進化した1950年代

フレンチ・ランジェリー展

50年代60年代のランジェリーネイビーのブラ(1950年代LOU所蔵品)白のボーン入りビスチェ(1950年代MAISONLEJABY所蔵品)上のガーターベルト(EMPREINTE1950年後半から60年代)レースのガーターベルトと白地にネイビーのレースのメリーウィドー(1960年SIMONE PERELE)

コルセット職人の仕立ての技を受け継いて、第二次大戦後下着は製造工場で大量生産されるようになりました。クリスチャン・ディオールがニュールックを発表し、そのファッションに合わせるように、下着は変化します。

ニュールックとは、1947年春夏のコレクションでクリスチャン・ディオールが独立後の初めてのコレクションとして発表した(当時の)新しいシルエットのことで、ギュッと突き出したバストライン、細く絞ったウエスト、丸みを帯びた腰……というシルエット作りのため下着の役割が重要になってきました。

素材にも違いがあります。それまでの下着は、綿や麻、絹などの天然素材で作られていましたが、ナイロンなどの化学繊維の開発で、大量生産の時代が幕を開け、全ての女性に向けた、よりカラフルで洗練されたランジェリーの商品化が始まりました。

また、この時代にシャンテル(Chantelle)レジャビー(Lejaby)シモーヌ・ペレール、リズ・シャルメル、オーバドウなどの現在でも人気のブランドが誕生し、女性たちはファッションを楽しむように下着のお洒落も楽しんだのです。


若い世代の自由な息吹を感じる華やかな1960年代

フレンチ・ランジェリー展

白のブラジャー(参考商品SIMONE PERELE)ピンクとグリーンの花柄ブラ(1960年代EMPREINTE)花柄プリントガードル(1960年代EMPREINTE)ガードルパンティガーターベルト(1950年代LOU)お花モチーフのガードル(1959年BARBARA)ピンクとグレーのガードルガーターベルト(1963年LOU)

1960年代は、フレンチ・ランジェリー界に新風が吹き込みます。若者が流行を牽引し、母親と同様のランジェリーを拒否します。ランジェリーメーカーもこの傾向に追従し、更に下着は進化します。

パンティストッキングの出現によって、ミニスカートが人気になり、スリップやガードルが古臭いものというイメージが出てきます。ファッションの大きな変化とともにランジェリーも変化したのです。
フレンチ・ランジェリー展

ファッションの変化とともにこの頃にブラジャー&ショーツがお揃いになります。ブラはイメージ商品。ピンクのブルマーEMPREINTE(1960年代初期)ピンクのワイヤレスブラAubade(1960年代)ピンクとストライプのガーターベルトEMPREINTE(1960年代初期)ピンクのショーツAubade(1960年代)

若い世代の強い希望に応え、既製服と同様にランジェリーの世界にファッションが取り入れられるようになったのです。

ブリジッド・バルドーがはやらせたピンクのギンガムチェックのような華やかなプリント生地が様々なランジェリーに使われるようになり、洋服と下着とのコーディネイトを楽しめるようになりました。

この時代からショーツとブラジャーがお揃いになり、現代の下着のお洒落に近づきました。



女性の解放を象徴して付け心地がアップする1970年代

フレンチ・ランジェリー展

ハイテク素材で作られた何もつけていないようなつけ心地のワウやレスブラジャーAubade(1970年)、LEJABY(1970年)、EMPREINTE(1970年)、Aubade(1970年)

1970年代のフランスはフェミニズム全盛の時代。

男性支配の社会からの開放の証としてブラジャーの衰退が予想されましが、実際は、女性たちはブラジャーを捨てることはできませんでした。ブラジャーは、女性にとってなくてはならない下着だったからです。

逆にそれまで以上にハイテク素材が開発され、まるで何も着けていないかのような、新しいつけ心地が良いブラジャーが開発されました。

軽い付け心地、透け感、セクシーさを追求したカラフルな1970年代のブラジャーは、何よりも機能性に優れていました。女性が遊び心を持ちながら自らの魅力を引き立たせて、自分自身も心地よく身につけられるランジェリーが誕生したのです。この頃に映画「エマニエル夫人」がヒットしました。

この時代になってようやく日本の下着も充実した商品が選べるようになりました。そして日本の女性たちも下着のお洒落を楽しむようになったのです。

>>次回は、1980年代からのフランスのランジェリーの歴史を紹介します。

【参考文献】
「フレンチ・ランジェリー展 TOKYO 2014」資料より
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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