米国株は過去3年続いてきた大幅上昇が2015年は途絶える
大きな流れが変わった感がある2015年。2016年は上がる?下がる?どちらの道を進むのでしょうか?
実際のところ、ニューヨークダウは年初来で-1.5%、S&P500指数は+0.1%と微妙な位置あります。最終週に200日移動平均線を上抜いていけるのか、それともそれとも跳ね返されるかで2015年の騰落勝敗が決まることになります。しかし、いずれにしても200日移動平均線は真横を向いてトレンドを示しておらず、3年続いて来た大幅上昇が2015年は途絶える事になります。ちなみに、2013年、2014年のS&P500指数は年末を最高値フィニッシュで終えていました。
一方、日経平均はどうなっているのかを見ると、同じく2015年12月25日(金)時点で、年初来では+7.6%と米国株の両指数よりは良い結果となっています。しかし、日経平均は50日移動平均線や200日移動平均線を共に下回った位置にあり、ローソク足も陰線や上髭が目立ち、弱気形状が示されています。超短期的には騰落レシオとマクレランオシレーターがやや売られすぎを示しており、反発あってもおかしくないところですが、上昇したところで再び50日線(もしくは200日線)に跳ね返されると、相当弱いトレンドを示すことになり、この形が最も警戒されるところでもあります。
ようするに現在は米国の利上げを乗り越えて世界の株価が業績相場に転じて上昇していけるところなのか、それとも金融相場の終焉ということで長期的な下落に転じていくのか微妙なところにあると思います。そして、その方向性はクリスマス休暇から大口の機関投資家が戻ってくる、12月の最終週以降に示されるものと思います。
2016年の一番の材料は米国の利上げペースがどうなるか
2016年の材料を考えてみますと、やはり、米国の利上げのペースがどうなるかが、一番大きな材料になると思います。今後FRBは年1%ずつ利上げを行い、16年末には1.4%、17年末2.4%、そして18年末にはこれまでの平均値付近である3.4%前後に持って行き、金利水準の正常化を目指します。一方、現在の市場コンセンサス予想を見てみると2016年は年に3回、+0.7%の利上げが予想されているところです。利上げが進むと為替は円安に振れやすくなり、日本株にはプラスの側面もありますが、ドルと反相関関係にある資源価格にはマイナスですし、中国やそのほかの新興国にとっては通貨の切り下げ圧力や資金の流出圧力が高まります。特に資源価格の下落がこれ以上続いた場合、資源会社や高利回り債券ファンドなどのデフォルトが発生する可能性があり、そうなると一時的に緊張が高まるので注意が必要でしょう。
もっとも、米国の利上げシナリオは以前からわかっていることであり、すでに市場はそうなることをある程度織り込んで来たはずです。したがって、仮に今後の利上げペースがかつてないほど緩やかで、場合によっては利上げラウンドの中止、或いは利下げに逆戻りも、という優しいスタンスが示唆されれば、ドルと逆相関する資源価格は逆にリバウンドし、利上げを前に資本流出懸念で売られていた新興国の通貨や株式も上昇する可能性もあるところです。もちろん、そうなれば先進国の株価にも好影響が出ます。
一方、プラスの材料考えると、日本や欧州は依然として金融緩和を行っており、更なる追加緩和も期待されるところです。加えていえば2016年の前半は日米ともに選挙に向けて上昇しやすい状況にあると思います。日本は7月に参院選を控えており、株価にプラスの政策が出やすいですし、米国も同様に大統領選挙の年となりますので、選挙対策で株価は上昇しやすい傾向があります。
また、年間のアノマリーを考えると、例年11月~翌年4月までは株価は上昇しやすく、5月~10月まで、株価は下落しやすいという傾向があります。このことと前述のプラスの材料を加味すると、2016年は、とりあえず4月頃までは比較的堅調な相場が続く可能性が考えられます。特に日本は日銀の追加金融緩和への期待が根強く残るところです。不発の黒田バズーカ、何が失敗だったのか?でも書きましたが、12月の政策発表は追加金融緩和ではなく、あくまでも補完措置であったためです。
ただ、その後は米国の利上げのペース次第といえるでしょうか。たとえば、市場予想に近い形で利上げが行われていき、調整の起こりやすい5月以降に一度、何らかのショックが起こった後に、優しい金融政策のスタンスが示唆され、再び堅調に戻るという可能性もあると思います。
参考:グローバルリンクアドバイザーズの最新投資情報
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