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消費増税、ZEH、震災5年 2016年の住宅取得の環境は?

この記事では2015年の住宅取得に関わる出来事を振り返り、2016年の重要なテーマをあげてみました。特に2016年は消費増税(8%→10%)の影響を受けますので、その点に関しても説明しています。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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早いもので師走の慌ただしい時期を迎えました。All Aboutの記事もメインのものは今年はこれが最後。そこで住まいの取得に関する2015の振り返りと、2016年のポイントについて書きます。特に来年は2017年4月の消費税率の10%へ上昇に向けた動きが最大のトピックス。住宅取得において重要な位置づけになりそうです。

「空き家対策元年」と位置づけられた2015年

さて、まずは2015年の話題から。ストック住宅(中古住宅)に関する注目度が大変高まった1年だったように私は感じています。中でも、それに関連する空き家問題がクローズアップされ、「空き家対策元年」とも言われました。

空き家

空き家は過疎地だけでなく人口密集地でも発生している。手入れがされず放置されたままだと、建物の各部位の劣化が進み様々な問題を生み出す(クリックすると拡大します)

2014年7月の総務省の発表によると、空き家は全国に820万戸あり、空き家率は過去最高の13.5%を記録したそうです。政府はこのことに危機感を抱き、2015年5月には「空き家対策特別措置法」を完全施行しました。

空き家がの増加の問題点は、建物の老朽化が急速に進むことで屋根瓦の落下、最悪のケースとして倒壊による人的、物的な被害が発生することがあります。また、ゴミ屋敷化や植栽などの不整備は景観を損ないますし、交通の妨げや周辺住宅地の住環境や資産価値への悪影響なども懸念されます。

住宅を含む建物は、人が住み維持管理を行わないと劣化が進むのです。劣化した建物は大地震などの災害時に倒壊したり、火災による延焼を誘発する危険性や避難を難しくする懸念もありますので、空き家が増えることは大きな問題なのです。

空き家問題の本質は、少子高齢化が進む日本社会の中で住宅が量的には充足しているということ、これからは質の向上が求められるということです。つまり、住宅は数十年にわたって住み受け継がれ、空き家とならないようにすべきだということです。

せっかく高額なお金をかけて住宅を取得するわけです。住宅事業者だけでなく、国民をあげてこのようなモノの見方で住まいを検討することが求められるようになった、そのことが顕著に表れた1年ではなかったか、と私は考えています。

一方で、このようなことにも関連して、2015年は中古住宅の大規模リフォーム「リノベーション」など、リフォームに関する動きも活発化しました。総合オンラインストアを運営するAmazonが「リフォームストア」を開設し、リフォーム事業に本格参入するなどといった話題もありました。

中古住宅の質を高め、より長く使う時代に

政府の住宅政策は今や新築住宅より中古住宅に対する方に重きが置かれるようになっています。この動きは、住宅事業者のみならず、これまで住宅に縁がなかった事業者がリフォーム事業にビジネスチャンスを感じていることに他なりません。

マンション

2015年の後半はマンションなど建物の安全性が大きな問題となった。責任の所在や、問題の本質的な解明などまだまだ課題が残っている(写真はイメージ。クリックすると拡大します)

そしてこのことは、民間事業者のアイデアを活用することで、新築住宅だけでなく中古住宅の質を高め、長く住まいを活用するようなムーブメントが定着しつつあることを表していると考えられます。

ところで、話は変わりますが、住まいに関する分野では、2015年は消費者を不安にさせるような出来事も起こりました。横浜市での「傾斜マンション問題」という出来事のことです。一時期ほど報道の激しさはなくなりましたが、今年強く記憶に残ったことではないでしょうか。

この問題について、報道はもちろん、色んな分析記事などが発表されてきましたが、まだまだ議論が尽くされていないように思われます。私はこれまで便宜上、世に言われるように「傾斜」という言葉を使ってきましたが、本当に傾斜しているのか、という意見もあるくらいなのです。

建築関係の方の中には「誤差の範囲だ」とか、「これよりもっとひどいケースもある」と指摘する人もいます。今のところ、不動産・建設業界の多重下請構造に問題があり、その中で責任の押し付け合いが行われているように見えますが、住民の方々のことも含め、早期にすっきりとした決着が図られることを期待したいものです。

次のページでは、2016年の住宅取得における住宅取得のポイントについて考えていきます。
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