豪華絢爛な珠玉の作品がここに
上野の森美術館(上野):シカゴ ウェストンコレクション 肉筆浮世絵-美の競艶 浮世絵師が描いた江戸美人100選
初代歌川豊国「見立雪月花図」 絹本三幅 文政3~7年(1820~24)頃 © WESTON COLLECTION
庶民の生活や、まちで一番の美人、人気の歌舞伎役者や風景など、自由な題材で江戸の町人はもちろん、世界中の人々の心を引きつけた「浮世絵」。現在、広く知られている浮世絵は色鮮やかな「錦絵」とも呼ばれる木版画のものが大半ですが、絵師が直接絹や紙に筆で直接描いた「肉筆画」も数多く存在しています。量産される版画作品に対して、一点ものの肉筆浮世絵は、細部まで精緻に描かれ、そして豪華。
たとえば、肌の色の表現。版画では女性の肌の美しさを表現するとき、絵の具を使用せず紙の白さを活用して表現しますが、肉筆画では胡粉(貝殻の粉、日本画などで白色を使うときに使用される)を薄く重ねます。この淡い肌色の上に、ぼかして描かれた髪の生え際やうなじ、紅がさされた唇など、繊細な表現は肉筆画だからこそできるものです。
菱川師宣「江戸風俗図巻」(部分) 絹本一巻 元禄年間(1688~1704)頃 ©WESTON COLLECTION
この展覧会は、シカゴを拠点に活躍する実業家、ロジャー・ウェストン氏が集中的に収集してきた肉筆浮世絵のコレクション129点で構成されたもの。江戸時代初期から明治期に至るまでの肉筆浮世絵の歴史をしっかりとたどります。ウェストン氏のコレクションは世界有数の規模と質を誇るもの。とくに、美人画の揃えは時代を通じて充実しています。当時の最新ファッションに身を包んだ彼女たちを並べて見るのもまた楽しい! 上方ものや、明治以降の浮世絵など、近年注目されている浮世絵も多く、新しい発見と感動に満ち溢れた展覧会です。
■展覧会DATA
展覧会名称: シカゴ ウェストンコレクション 肉筆浮世絵-美の競艶 浮世絵師が描いた江戸美人100選
会場:上野の森美術館
会期:2015年11月20日(金)~2016年1月17日(日)
※会期中展示替えあり
開館時間:10:00~17:00
※金曜は20時まで開館
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜、1月1日(金)
※ただし1月11日(月・祝)は開館
Web: http://weston.exhn.jp
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