2015年調査、1人暮らし世帯は貯蓄ゼロが大幅増加
貯蓄なしが増加した1人暮らし世帯
単身世帯の金融資産の保有額の平均値は773万円と2014年と比較して1万円の減少となりました。中央値は20万円と2014年と比較して55万円もの減少となっています。金融資産保有世帯だけに限ると、その平均額は2014年と比較して218万円増加して1486万円、中央値も80万円増加して580万円となりました。
金融資産を保有していない世帯は8.6ポイントも増え47.6%と過半数に迫る勢いです。2人以上世帯のデータで持つ者と持たざる者の格差がより開いた1年と述べましたが、単身世帯ではその格差がさらに開いた1年と言えそうです。
金融資産保有世帯が大幅に増加した理由は記載されていませんが、金融資産保有世帯については金融資産が減少した理由が記載されています。トップは「定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」で昨年比5.6ポイント上昇の49.2%。「株式、債券価格の低下により、これらの評価額が減少したから」は昨年比0.9ポイント上昇の17.7%でした。
「耐久消費材(自動車、家具、家電等)購入費用の支出があったから」は昨年比1.7ポイント減少の16.5%、「旅行、レジャー費用の支出があったから」は昨年比4.3ポイント減少の15.0%でしたから、単身世帯は収入減により赤字になってしまった家計がかなりあったことがうかがえます。
金融資産が増えた世帯の理由でも、「定例的な収入が増加したから」は昨年比7.1ポイント減少の30%であることから、2人以上世帯は概ね収入が増加している半面、単身世帯は収入さえ増えなった家計が多かったと言えるでしょう。
ただし、モニター回答者の2割が60代なので、働いている人よりもリタイア世代の声を反映した結果といえるかもしれません。言い換えれば、リタイア層はかなり厳しいのでセカンドライフの準備は怠りなくと言えそうです。
単身世帯は株・投資信託などの保有割合が多い
金融商品別の構成比を見てみると、郵便貯金を含む預貯金は前年比2.7ポイント上昇の48.4%、有価証券(債券、株式、投資信託)は前年比0.5ポイント上昇の30.7%となっています。上昇率は低いものの、有価証券の保有割合が3割を超えているのは2人以上世帯と大きく異なるところです。反面、生命保険は前年比0.5ポイント減少の9.1%となっています。金融資産保有世帯において、金融資産構成を前年と比較した場合「現金や流動性の高い預貯金から、長期運用型やリスク資産に振り向けた」とした世帯は0.4ポイント上昇の13.0%。反対に「長期運用型やリスク資産から、現金や流動性の高い預貯金に振り向けた」とした世帯は3.0ポイント上昇して6.6%になりました。
また、有価証券保有世帯(債券・株式・投資信託のいずれかの保有額が1万円以上の世帯)でみると、「現金や流動性の高い預貯金から、長期運用型やリスク資産に振り向けた」とした世帯は0.4ポイント上昇の20.0%。反対に「長期運用型やリスク資産から、現金や流動性の高い預貯金に振り向けた」とした世帯は3.9ポイント上昇して9.1%になりました。単身世帯は積極的にリスクを取った運用を行うよりも、利益確定を行い保守的な運用に切り替えていることがうかがえます。
保有目的は老後の生活費がトップ
金融資産の保有目的では、老後の生活費が前年比2.3ポイント増え53.2%でトップ。次いで病気や不時の災害への備えが0.2ポイント増え46.8%となっています。金融商品の選択の際に最も重視していることは、「元本が保証されているから」が前年比2.0ポイント上昇し26.1%と最も高く、「利回りが良いから」は1.0ポイント減少して20.7%、「少額でも預け入れが自由にできるから」が2.9ポイント減少して10.6%になっています。
今後保有を希望する金融商品は、預貯金が最も高く47.5%と前年比3.3ポイント上昇、債券・株式・投資信託いずれかの有価証券の保有を希望する世帯は26.0%と前年比1.7ポイントの上昇に留まっています。
また、元本割れを起こす可能性があるが、収益性が高いと見込まれる金融商品の保有については、「そうした商品を保有しようとは全く思わない」が63.8%と前年比0.1ポイント増加している半面、「そうした商品についても、一部は保有しようと思っている」が0.1ポイント減少の25.7%、「そうした商品についても、積極的に保有しようと思っている」は0.3ポイント上昇の10.5%となっています。
単身世帯の運用姿勢はまちまちのようですが、総じて保守的な面が強いように感じられます。
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