障害の受容(障害受容)とは?

病気やケガが治った後、または大きな事故や災害の後、なお残っている心身の機能低下・損失、日常生活あるいは社会生活上の困難・変化などを受け止め、劣等感やわだかまりなくポジティブに社会生活を営むまでのプロセスを「障害の受容(障害受容)」と呼びます。

言葉で説明すると、とても短くまとまってしまいますが、実際には大変複雑なプロセスであり、医療や介護の専門職にとっても理解や支援に悩む難しい問題の一つとされています。

障害受容のプロセスは「十人十色」

  1. ショック:障害を負ったことによる驚き、戸惑い、無関心状態。
  2. 否認(回復への期待):回復できない事への否認、過剰な期待。
  3. 混乱・悲嘆:絶望、怒り、極度の不安。
  4. 解決への努力(現実認識):自分自身を冷静に見つめ、新たな生活に向けて目標や課題を見出す
  5. 受容・適応(順応):新しい自分の価値を認め、障害があっても前向きに生きようとする段階

障害受容の典型的なプロセスについて、専門家が使用するテキストには上記の1~5の順序を辿ると説明されていますが、あくまでも参考程度のものであり、この通りのプロセスを真っ直ぐ辿るケースはほとんどないと考えて良いでしょう。

実際には、年齢、障害の内容・程度、元々の性格、家族構成、職業などによって異なりますし、ふたつの相反する感情を持ち合わせる時期もあります。そばで見守る家族や支援者は、障害受容のプロセスにも個性があることを前提に、このような専門用語に捕らわれることなく本人が発する言葉や仕草から、ありのままの思いを察する姿勢が大切です。

障害受容のプロセスにおける問題点~家族・支援者との関係性~

障害受容

本人だけではなく、家族も障害に直面しているため、同時にケアが必要な場合があります。

「否認」や「混乱」の段階で最も問題になるのは、家族・支援者との関係性です。少しでも良くなって欲しい、笑顔で暮らして欲しいと願う家族・支援者にとっては、焦りや我慢ばかりでストレスが貯まります。「リハビリに誘ってもさっぱり言うことを聞かない!」「なんでも人に頼りっきりで疲れる!」等と感情的になり、家族関係を悪化させるといったケースも少なくありません。

仕事と介護を両立している若い世代では、介護離職を迫られる可能性も高まります。障害受容は、本人が納得・満足の行く生活を実現するだけではなく、家族や支援者が安心して生活を送るためにも欠かせない要素なのです。

障害に対する思いは常に揺れ動き、変化し続ける~ゴールなき障害受容~

障害受容は、リハビリの成果や自立生活、さらには社会復帰の形を決定付ける要素として重要視されています。ただし、障害受容が全てのゴールという意味ではありません。時に、「リハビリのゴール=障害受容」と捉えられがちですが、例えば、「リハビリがうまく進まないのは障害受容ができていないから」と安易に解釈し受容を迫るのは、本人の意思に反し、価値観や権利を阻害してしまう恐れがあるため注意が必要です。

一旦「受容した」ように見られても、再び「否認」や「混乱」の時期を繰り返すことも珍しくありません。また、明確な障害受容のゴールを迎えることなく、充実した生活を送る人も大勢います。もちろん、障害を受容しているからといって生活に満足しているとは限りません。……障害受容を「促す」だけが良い結果を導くのではなく、揺れ動く心の変化を見守り寄り添い歩む姿勢が、困難を乗り越えようと試行錯誤する人を支えるのではないでしょうか。

次回の記事では、ゴールなき障害受容プロセスを支えるために、家族や支援者に求められるポイントやアプローチ方法について紹介します。



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