言葉の発達とともに育つ交渉能力
交渉能力も育ってくる3歳代
少々うんざりしていたら、3回目ぐらいの時に、「お母さん、赤いりんごと黄色いりんご、どっち食べたい?」。思わず「赤いのがいいな」と気持ちよく答えている自分がいました。
もちろん末っ子は無意識のうちにでしょうが、「選択させる」という形を取ることで、私の返事を引き出していたのです。
3歳代になり、言葉の使い方も巧みになってくると、自分でも無意識のうちに交渉能力、言葉で考える力が育っていきます。
赤ちゃん~2歳ぐらいまでの頃と違って厳しく言い聞かせなければならない場面も増えてきますね。頭ごなしに怒って子どもの考える力、機会を奪うのではなく、子どもが考えて行動する力が育つよう、サポートする叱り方について考えてみます。幼児期だけでなく、小学生になってもポイントは基本的に共通です。
1.できないことができるようになる方法を一緒に考える
「早くして」「まだできないの?」「さっさとやりなさい」……。トーンの違いはあれ、年齢を問わず子どもに言ってしまいがちな言葉です。親から見ると、もっと手際よくできるのではないかと思えること、やる気が足りないのではないかと思えることも、意外と本人にとっては精一杯だったりします。1つ1つのことは上手にできても、忙しい朝など、複数のことが目の前にあると混乱してしまうこともあるようです。例えば小学生に「歯は磨いたの?」「布団たたんでいないよ!」「ご飯遅れているよ!」「今さらプリント出して何やっているの!」などとたたみかけてしまうと、子どもはどれからやっていいかわからなくなったうえに、今後それらにどうやってできるだけ効率的に取り組むかを考えるタイミングも逸してしまいます。
(例)
・朝食を食べるのが遅い
→早く起こして朝食時間を早める。朝は食べやすいメニューにする。幼児期後半、小学生以上の時計が読める子だったら、時間の目標を設定して(○分までに着替えと歯磨きをするなど)行動させる。
・片づけない
→片づけやすい環境づくり(しまいやすい収納をしまいやすい動線に)、思い切って処分する(必要なものとそうでないものをじっくり考えさせる)
2.自分で考えて選択させる
自分で考えて選択する機会を
禁止や命令ではなく、「こうしてくれたらお母さんは嬉しいけれど、あなたはどうしたい?」「お父さんはこう思うけど、おまえはどう思う?」と、こちらの希望や考えを伝えたうえで、自分自身はどう思うか考えて選ばせる体験を少しずつさせていくことをおすすめします。
これによって、自分で考えて決定することには責任が伴うことを自覚したり、自分で選んだことだからこそ、うまくいかなかったときに「どうしてうまくいかなかったんだろう」「どうすべきだったんだろう」という気持ちが引き出されます。
この体験の積み重ねは、小学校高学年、中学時代のプレ思春期~思春期に、自分で決断しなければならない場面が増えてきたときに、大きな支えとなってくれることでしょう。
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