さて長期的な株価の展望は?
今回上場した日本郵政<6178>は、子会社に日本郵便(非上場)、ゆうちょ銀行<7182>、かんぽ生命保険<7181>があります。ただし、ゆうちょ銀行の株とかんぽ生命保険の株については、長期的には売却を進め、子会社から離れることを予定しています。それでは仮にこれら2社が子会社から外れ、日本郵便だけが日本郵政の子会社に残ったと仮定しましょう。平成27年3月期の日本郵便の当期純利益は154億円でした。日本郵政の発行済株式数は45億株ですから、1株当たり当期純利益はざっくりと計算して3.4円。公募価格は1,400円。上場初日の終値は1,760円。2日目(11月5日)の終値は1,820円でした。2日目の終値1,820円は、試算した1株当たり当期純利益3.4円の535倍です。
以前書いた通り、株価は1株当たり当期純利益の20倍が相場ですから。
株価は好調で、みなさんホクホクだと思いますが、長期的な株価の展望にはあまり期待できなさそうですね。
もっとも、ゆうちょ銀行株の売却やかんぽ生命保険株の売却により巨額の資金を獲得できることから、これを日本郵政が自らの株主に自社株買いや配当の形で還元することが期待できます。
また、日本郵政も業績を拡大させるために、オーストラリア物流大手のトールホールディングスを買収して、海外に成長機会を求めています。これらの施策がうまくいけば良いのですが、今まで官業としてやってきた日本郵政グループが民業の感覚で経営していくためには、経営者始め多くの変化が必要なのではないでしょうか。
ともかく、日本郵政グループの株式売却代金は、日本の国庫に入ります。莫大な負債に苦しむ日本にとってはスズメの涙ほどですが、ないよりはまし。業績も株価も好調に推移することを期待しています。