株・株式投資/決算書からチェック!気になる銘柄の株価

郵政3社が上場しました。株価好調ですが将来性は?(2ページ目)

日本郵便は、ディフェンシブで衰退ステージにある企業といえます。将来性に期待が無いわけではないですが、薄明りです。長期的な株価の展望も、期待しすぎは禁物です。

日根野 健

日根野 健

公認会計士 ガイド

京都大学教育学部卒業。公認会計士。監査法人トーマツを経て株の学校アクションラーニングを創業し、初心者向けに株式投資の教育を行う。日根野公認会計士事務所、京都事務所所長

プロフィール詳細執筆記事一覧

さて長期的な株価の展望は?

今回上場した日本郵政<6178>は、子会社に日本郵便(非上場)、ゆうちょ銀行<7182>、かんぽ生命保険<7181>があります。ただし、ゆうちょ銀行の株とかんぽ生命保険の株については、長期的には売却を進め、子会社から離れることを予定しています。それでは仮にこれら2社が子会社から外れ、日本郵便だけが日本郵政の子会社に残ったと仮定しましょう。

平成27年3月期の日本郵便の当期純利益は154億円でした。日本郵政の発行済株式数は45億株ですから、1株当たり当期純利益はざっくりと計算して3.4円。公募価格は1,400円。上場初日の終値は1,760円。2日目(11月5日)の終値は1,820円でした。2日目の終値1,820円は、試算した1株当たり当期純利益3.4円の535倍です。

以前書いた通り、株価は1株当たり当期純利益の20倍が相場ですから。

株価は好調で、みなさんホクホクだと思いますが、長期的な株価の展望にはあまり期待できなさそうですね。

もっとも、ゆうちょ銀行株の売却やかんぽ生命保険株の売却により巨額の資金を獲得できることから、これを日本郵政が自らの株主に自社株買いや配当の形で還元することが期待できます。

また、日本郵政も業績を拡大させるために、オーストラリア物流大手のトールホールディングスを買収して、海外に成長機会を求めています。これらの施策がうまくいけば良いのですが、今まで官業としてやってきた日本郵政グループが民業の感覚で経営していくためには、経営者始め多くの変化が必要なのではないでしょうか。

ともかく、日本郵政グループの株式売却代金は、日本の国庫に入ります。莫大な負債に苦しむ日本にとってはスズメの涙ほどですが、ないよりはまし。業績も株価も好調に推移することを期待しています。
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2025/7/31まで)を実施中です!

※抽選で20名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます