睡眠という視点から住環境を見直してみよう
睡眠の善し悪しが健康へ影響することは色々な場面でいわれています。よく眠れないと疲れが溜まってしまいますし、仕事や勉強などの効率が大きく下がってしまいがちです。仮に睡眠時間の平均が8時間とすると、人は睡眠に1日の1/3の時間を費やしていることになる。つまり睡眠は住まいの中で行う行為のうち最も多い時間を費やすことになる。このため、睡眠の質を重視することは、よい住まいを獲得する上で重要な要素といえる(クリックすると拡大します)
これらのことから、よく眠ることと健康な生活に深い関係性があることを皆さんもよくご存じだと思います。ですから、住まいと睡眠の関係をもっと知っておくべきで、これから住まいの建築・購入、あるいはリフォームを計画されている方は、ぜひ睡眠環境にも配慮されてはいかが、というのが今回の記事の趣旨です。
睡眠を軸に住環境を見直すことにはお金がかかります。比較的手頃な価格で購入できる寝具などにどうしても目がいきがちですが、本格的に睡眠を改善したいなら住環境そのものに手をつけるべきだということです。
実はこのことは国も注目しているようで、国土交通省では平成26年度(2014年度)より「スマートウェルネス住宅推進事業」を開始。厚生労働省も11年ぶりに睡眠指針を見直し、「健康づくりのための睡眠指針2014」を発表しています。
スマートウェルネス住宅とは「高齢者、障害者、子育て世帯等の多様な世代が交流し、安心して健康に暮らすことができる」住まいのこと。事業にはサービス付き高齢者向け住宅のほか、高齢者や障害者、子育て世帯の居住の安定確保・健康維持増進などが盛り込まれています。
要するに、国レベルでも私たち国民が安心で健康な暮らしおくれるような仕組みづくりをしようという機運が高まっているわけで、その中にソフトとしての睡眠の改善やそのあり方も含まれるのです。
夜中、トイレに行くと明るすぎて眠れない…
「健康づくりのための睡眠指針2014」についてはこちらをご覧ください。この中に「良い睡眠のためには、環境づくりも重要です」とあり、睡眠の環境について指摘があります。解説には、寝室などの温度や湿度、明るさなどが睡眠の質に影響するといったことが書かれています。冒頭で最近私は睡眠不足気味と書きましたが、この指摘が当てはまっているなと感じる部分があります。私は寝る前にiPadで動画を見るのですが、画面が光がチカチカしそれで頭が興奮し寝付きが悪いのかと思われます。別に変なものは見ていませんが…。
そういえば、光というのは睡眠の善し悪しに強く左右するようです。私の父はもう亡くなりましたが、生前、「夜中にトイレに行くと明かるすぎて、その後は寝づらくて困る」とよくこぼしていました。
年を取ると、夜中に何度もトイレに行くようになります。私も最近は一度くらいはいかなければならない年齢になり、父が言っていたことがよくわかるようになりました。つまりだれでも「トイレが近い」という状況を経験するわけです。
例えば、夜中は足下だけがボーっと照らされるような、明るすぎないトイレの照明としておくことも、より良い睡眠を実現する住まいのあり方として重要になるのではないでしょうか。
次のページでは、寝室やリビングなどにも言及してみます。