「性欲解消」は別の方法で
自分らしさを追及し、趣味のバンド活動に没頭。恋愛やセックスはときどきあればいい。
「なんのために結婚したいのかわからなくなっちゃって。契約社員だから老後が不安で焦っていたけど、結婚すればすべてが好転するとも限らない。自分の人生、もう一度見つめ直そうと思いました」
どうしても欲しいものを考えた。そして猫を飼った。焦っていた気持ちが薄れていくのを感じたそうだ。昔やっていたバンドを再開し、週末はスタジオで練習するのが、このうえなく楽しい。
「そうしたら、“あれ、私、恋愛なんてしなくても大丈夫だわ”って思って。結婚も恋愛も、実はそれほど必要なものではなかった。だけど、やっぱりたまに性欲に振り回されそうになる。そこで友だちに勧められた、性感マッサージを試してみたんです」
彼女たちにとって、セックスはエステやネイルサロンと同じ?
「おかしな話なんですが、今までのどんなセックスより感じてしまったんですよね。もちろん、愛情のあるセックスは大事だと思うけど、これほど感じるなら、かえって後腐れなくていいわって思った」
それ以来、2~3ヶ月に1度、性感マッサージへと赴く。体をほぐすマッサージとまったく同じだとマリさんは割り切っている。
「独身の先輩に勧めたら、その先輩もハマっちゃって。独身女性に必要なのは、こうやって手軽に性欲を解消することなのかもね、と話しています。担当のマッサージ師さんによれば、顧客には70代女性もいるらしいので、まだまだ大丈夫」
恋愛とセックスを切り離すと、これほどまでに気が楽になるのかと、マリさんは目から鱗が落ちる思いだという。
「若いときは、彼のことが好きで夜も眠れない、なんてこともあったけど、この歳になると、恋愛にそれほど純粋な気持ちがなくなってくる。かといって、男友だちとセックスしたらあとが面倒だし、わざわざ一夜限りの相手を探すのも時間の無駄。だったら、ネイルサロンに行くように、性感マッサージへ行ってもいいんじゃないのかなと思っています」
女性たちの意識は、ものすごいスピードで変化している。息抜きセックス、性感マッサージなど、肉体的快感を得られればそれで満足。セックスは、デトックスみたいなもの。「バイブさえあればそれでいい」と言いきった女性もいる。
恋愛や結婚に過剰な期待を抱かず、独身を楽しむ女性たち。彼女たちような女性が増えれば、男女関係はまた変わっていくに違いない。
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