発達障害/発達障害の種類・基礎知識

発達障害のパートナーに悩む…カサンドラ症候群(2ページ目)

カサンドラ症候群とは、アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)を配偶者に持ち、「家庭内の苦しみを周囲に信じてもらえない」状態にある人のことをいいます。本文では、家庭内で起こっていること、どのような対策を考えていく必要があるかを紹介します。

矢野 宏之

執筆者:矢野 宏之

臨床心理士 / 心の健康ガイド

どうしていけばいいのか?

まずは、自分がカサンドラ状態にあることに気がつくことです。「自分は何か苦しい」、「家庭内でなぜかストレスが溜まる」という所から、カサンドラ症候群を疑っていく必要があるでしょう。

そして、パートナーの行動を観察して、アスペルガー症候群があるかもしれないと感じたら、精神科を受診し、しっかりと診断をつけてもらうように頼んでみましょう。しかし、なかなかパートナーが受診に繋がらないケースも多いと思います。その場合は、一緒にアスペルガー症候群について勉強していくところから始めてみましょう。
 

家庭内での問題をどうするか?

  • 具体的な指示の方法を考える
    アスペルガー症候群の方は、曖昧な指示ではなかなか動けずに、指示を実行してくれない場合があります。例えば、「家のことを頼むね」と言われると分からない方でも、「掃除と洗濯をしておいてね」と言うと伝わる場合があります。
     
  • 具体的なルールを決める
    指示だけに頼っていると、指示をたくさん出さなければならないため、疲弊してしまいます。そこで、具体的なルールを二人で事前に決めていきます。例えば、「家のゴミ出しは、夫の仕事」、「プレゼントは、二人で一緒に買いに行く」などです。
  • 役割分担を考える
    お互いに得意・不得意を出し合って、役割分担を決めておくと、衝突も減ってきます。例えば、旅行の希望を出すのは妻、旅館の予約や移動手段を決めるのはアスペルガー症候群の夫などです。
  • 自助会、友人同士の集まりなどを利用する
    ここまでの対策をとっても残ってしまう問題は、「相談ができない」「話を聞いてくれない」ということかもしれません。また、具体的な指示やルールを考えながら日々の生活を考えていくことは大変なことです。そこで、似たような悩みを持った人が集まる自助会や、友達同士の集まりへの参加も必要です。

アスペルガー症候群は認知度があがりましたが、まだまだ未受診の方が多いのが現状です。そのため、カサンドラ症候群になり、苦しんでいる方も多いと思います。カサンドラ症候群という言葉が広まり、支援の輪が広がっていくことを祈っています。
 
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