偶然の出会い
ガイド:トベタ・バジュンさん、ニュー・アルバム『TOKYO GALAXY』のリリース、おめでとうございます。トベタさんとは、偶然に僕が所属しているWATER DESIGNオフィスで半年ほど前に偶然に出会いましたが、このような形で今回インタヴューが出来て、光栄です。WATER DESIGNの坂井直樹さんを通じて繋がりましたが、もともと坂井さんとはどのようなご縁でお知り合いになったのですか?
トベタ:
坂井直樹さんとは共通の知り合いであるモデルエージェンシー代表が主宰のパーティーで、今年の春くらいに知り合いました。坂井さんはとても気さくな方で「WATER DESIGNに遊びにおいでよ!」とお誘いいただき、そこで四方さんと運命的な出逢いをしたわけです(笑)。ご縁がご縁を繋いできたという流れです。
音楽への入り口
ガイド:『サウンドストリート』に始まる(坂本龍一)教授のオーディション番組から輩出されたミュージシャンは数多いですが、トベタさんも『RADIO SAKAMOTO』の卒業生ですね。僕よりはかなりお若いトベタさんですが、YMOや教授はやはり音楽への入り口だったのでしょうか?
トベタ:
僕は40代ですから若いとは言えないです(笑)。だからYMO直撃世代です。音楽の入り口としては、幼い頃からピアノを習っていたのでショパンやベートーベンといったロマン派からラヴェルやドビュッシーといった印象派が音楽の入り口でした。そして父が趣味でラテン系のバンドを組んでアコーディオンやギターを演奏していた関係で家にはラテン音楽のレコードが山のようにあり、ジョビンやピアソラなどの音楽の洗礼も受けて育ちました。
ガイド:
トベタさんの幅広い音楽性はどこから来るのかと思っていたのですが、そういう体験があったのですね。
トベタ:
そんな中でYMOと出逢ったので衝撃でした! まるで映画『2001年宇宙の旅』にでてくる岩(モノリス)のような存在でした。なので、幼い頃から聞いてきたクラシック音楽やラテン音楽の切ない美しさにYMOのエッセンスがつまった教授の音楽は、僕にとっては宝箱のような究極の美でした(でしたというか、今もです)!
当たって砕けろ!
ガイド:その後、『LOVE DELUXE』(2005年)、『青い蝶』(2008年)、『African Mode』(2010年)とソロ作品をリリース。今回もそうですが、トベタさんは、教授、幸宏さん、アトム・ハートさんなど強力なゲストの参加も得て、自らの作品を作り上げていく、その行動力は昔からですか?
トベタ:
行動力だけは自信があります! 行動力というか当たって砕けろ的な体当たり人生、という感じです(笑)。だから振り返れば失敗も山積みです。
『青い蝶』というアルバムを作り始める前、当初は音楽業界へ自分を売り込む為のデモテープを作っていたのですが、そのデモテープを作っていく過程で、最も尊敬する坂本龍一さんと共演できないかなという無謀な夢を抱き(笑)、当たって砕けろ的なアプローチをしたのです。そしたら坂本教授が僕の音楽に反応してくれて僕のオリジナル楽曲の中で教授がピアノを弾いてくださったのです。その曲が『青い蝶』というアルバムの1曲目に収録されている「Asian Flower」という曲なのですが、その時に僕は教授の心の広さと同時にクリエイティブにおけるオープンな本物なる姿勢を教えていただき、それが今でも行動する上でのスピリッツの核となっています。それは本物を追求する時には、妥協せずに作品の本質を見つめ徹底することです。誰が参加しているという事はとても貴重な事ですが、美や表現を追求する上で徹底すべく行動した結果がゲストに繋がっていると思います。
青い蝶 (amazon.co.jp)
Asian Flower (YouTube)