実収入は前年同月比で5.7%UP
30代の家計をチェック
楽しいことのあとには、厳しい現実も待っているわけですが、そのひとつが、自分の家計チェックでもあります。お金を使うのは楽しいけれど、そのためには計画性がなければなりません。家計チェックの一つには、前年の同じ時期と比べてどうなのか、使いすぎている項目はないかといった観点が必要になってきます。
そこで、夏のボーナス支給直後の7月の家計調査で、30代の家計動向を見てみることにしましょう。
総務省が毎月速報値で発表している「家計調査」。二人世帯で勤労者世帯のデータを使ってみていくことにします。年齢区分は、5歳刻みで、各年代前半と後半に分けられたデータです。
まず、収入の面ですが、調査全体では7月度は約58万7000円と前年同月比で5.7%増という結果に。30代前半は約54万円で同2.2%増、30代後半は11.2%もの増加となっています。30歳後半の伸びには、配偶者の収入増も反映されており、平均で約8万円。前年同月比54.3%増と高い伸び率になりました。
一方、消費支出をみると、全体では約31万4000円で前年同期比1.0%の増加なのに対して、30代前半では16.1%、30代後半では10.8%と大幅に増加しています。費目ごとにみていくと、30代前半で交通・通信費が異常に高くなっており、その内訳をみると自動車購入に充てた費用が高くなっています。若年層の自動車保有率が低下しているなか、今回の調査を見る限り、自動車購入の動きが出たのは、少々驚きです(単月比較ですので、今回調査の異常値とも言えますが)。
そのほか、費目で特徴的なのは、家具・家事用品、被服および履物といった項目で、全体平均より高い伸び率を示しています。ボーナスが出た直後、ということもあり、これまで節約に節約を重ねてきた分、高額商品やファッションに向けられる費用がかさんだ結果かもしれません。
平均貯蓄率は全体平均より高いが……
そして、気になる貯蓄動向ですが、収入が増えた分、どの年代も総じて可処分所得が増加しています。しかし、貯蓄の純増額は、年代によって大きく差がでています。これは消費支出とも関連しますが、全体での貯蓄純増額は約11万4000円で、平均貯蓄率は24.3%であるのに対し、30代前半では、貯蓄純増額約12万7000円、貯蓄率28.0%と高い数値を示しています。しかし対前年同月比では、貯蓄純増額は減少し、▲34.6%です。30代後半は、貯蓄純増額約15万1000円で平均貯蓄率は31.1%。対前年同期比で19.4%のUPとなっています。同じ30代でも前半と後半でここまで違いが出るのは、不思議ではありますが、30代前半は就職以降、始めて給料が上向きになったのを実感し、財布のひもが緩んだということも考えられ、一方30代後半は、住宅購入の頭金づくり、子どもの教育資金が間近な問題となって迫っており、収入UP分は、堅実に貯蓄に回す、という行動の結果かもしれません。
30代はこれからの働きいかんで、収入の差、貯蓄の差がでてくる大切な年代です。まずは収入UPが望める働き方であるのかを考える必要があります。今現在、共働きで子どもがいないのであれば、人生のなかで最大の貯めどきであるのも事実です。
この大切な年代で、自分の家計をほったらかしにせず、半年に一度、1年に一度見直すきっかけになればと思います。他人と比べる必要はありませんが、家計に占める支出の割合、支出のなかで突出した費目はないか、こういった観点で、データを見ていくといいでしょう。