要介護となった後も続く「介護予防」
要支援・要介護と認定された高齢者も、適切な運動や健康管理により介護に依存した生活から「卒業」できる可能性があります。
介護を卒業した後の「居場所」と「役割」が自立生活を支える
公的な制度を使って介護を受ける人が少なくなれば、介護保険料の負担軽減はもちろんのこと、より手厚い介護を必要とする人へサービスが行き届くようになるなど、将来的に様々なメリットが生まれます。その一方で、介護を卒業した高齢者が、身体的・精神的・経済的な理由により再び要介護状態に陥るケースも少なくありません。そのため、介護を卒業した後も継続して高齢者の暮らしを支える仕組みが重要となります。病気や障害を乗り越えた体験を活かしたボランティア活動
自宅に閉じこもることなく、仲間を一緒に過ごす時間を持つことが自立生活を維持していく上で大変重要となります。
そこで全国的な広がりを見せているのが、介護を卒業した高齢者が、要介護高齢者のリハビリを支援する取り組みです。在宅療養を送る要介護高齢者が参加する運動教室に「ボランティア指導員」として出向き、自らの体験と知識を活かした支援を行うといった事例が続々と報告されています。
「伝える」ことによる様々な健康効果
元・要介護高齢者としての立場を活かしたボランティア活動では、自らの体験を通して得られた知識を他者に伝えることにより、様々な健康効果が得られます。例えば、自分が以前行っていた体操を指導する場面では、どんなことが大変だったか、その体操がどんな場面に役だったのかを振り返りながら伝えることができます。そこで「良くなった自分」を再認識できれば、自らの動きや体調を見直すだけではなく、生きる意欲や新たな夢や希望を持つことに繋がって行きます。ボランティア活動をきっかけに、指導者としてさらに社会に貢献しようと、有資格者が開催する専門講座で健康に関する知識を学び、指導のバリエーションを深めようと意気込む人も増えているのではないでしょうか。
病気や障害の体験を語り合うことを通し、心身ともに様々な効果が得られます。
最近では、高齢者が介護の担い手として活躍できるよう、独自のボランティア育成講座を開催する自治体も徐々に増えているようです。