新築マンションの販売や中古マンションの仲介をしていると、その管理業者はだいたい決まった顔ぶればかりで、首都圏では大手による寡占が進んでいる印象もありますが、国土交通省の資料によれば全国に2,214社 (平成27年3月末現在の登録数) もあるようです。
そのマンション管理業者について、国土交通省は平成17年度から「全国一斉立入検査」を実施しているのですが、何らかの違反状態が指摘され是正指導を受ける業者は、毎回かなりの割合になっています。
平成26年度(平成27年7月に結果を公表)の立入検査では、任意抽出された149社のうち60社(40.3%)が業務に関する是正指導を受けました。
平成17年度の指導率は61.4%、平成18年度は56.5%(うち1社に業務停止処分)、平成19年度は66.3%でしたから、それに比べれば改善が進んでいるといえなくもないでしょうが、「全国一斉立入検査」が始まってから10年近く経っても約4割の業者が是正指導を受けている状態は大いに気になるでしょう。
立入検査の対象となっているのは150社前後(当初は60社前後)ですが、大手も中小も関係なく完全に無作為で立ち入り先を決めているのか、それとも疑わしそうなところを選んで決めているのかは分かりません。
もし無作為であれば、全国で800社以上のマンション管理業者が何らかの違反状態にあることになりますが……。
もっとも、マンション管理業者にかぎった話ではなく、不動産業者だって同じように一斉立入検査で細かい部分まで調べられたら、是正指導を受ける会社がゾロゾロと出てくるでしょう。
私がむかし勤めていた会社でも、上場をするというときになって過去の契約書類の不備を繕うため、上司たちが右往左往していたことを覚えています。
不動産業者にしてもマンション管理業者にしても、もっと改善すべき社内業務や問題点がたくさんあるように感じられます。住宅関係の業界が消費者から大いに信頼されるのは、まだまだ先の時代でしょうか。
>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX
(この記事は2008年8月公開の「不動産百考 vol.23」をもとに再構成したものです)
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