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Apple Watchでもスムーズな旅を助ける「ANA」アプリ

旅行時にもスマートフォンは大活躍。その中でもユニークな試みを続けているのが、全日本空輸の「ANA」アプリです。今回は、開発を担当されている全日本空輸株式会社マーケティング室マーケットコミュニケーション部デジタルマーケティングチームアシスタントマネージャーの渡邊勇喜氏にお話をお伺いしました。

伊藤 浩一

執筆者:伊藤 浩一

デジタルガジェットガイド

普段の生活だけでなく、旅行時にもスマートフォンが必須の存在になってきました。地図や観光地検索、ホテル予約、交通検索、記念写真など、もしスマートフォンが使えなくなった場合を考えると不安になるほどです。旅行関連でもさまざまなアプリがリリースされていますが、その中でもユニークな試みを続けているのが全日本空輸のスマートフォンアプリ「ANA」。マイレージ確認、空席予約といった機能に加えて、最近では羽田空港内の道筋を知らせ、誘導してくれるサービスを導入しています。

今回は、本アプリの開発を担当されている全日本空輸株式会社マーケティング室マーケットコミュニケーション部デジタルマーケティングチームアシスタントマネージャーの渡邊勇喜氏にお話をお伺いしました。

全日空空輸株式会社マーケティング室マーケットコミュニケーション部デジタルマーケティングチームアシスタントマネージャーの渡邊勇喜氏

全日本空輸株式会社マーケティング室マーケットコミュニケーション部デジタルマーケティングチームアシスタントマネージャーの渡邊勇喜氏


アプリ「ANA」について

---アプリ「ANA」のユーザー動向について教えてください。

渡邊:2013年6月に大幅にアプリをリニューアルしました。iOS7のリリースのタイミングでフラットデザインにして、Passbookに対応を行いました。リニューアル以降は、利用ユーザーが伸びており、月間ユニークユーザーが80万人になっています。累計では、200万ダウンロード(iOS、Android)となっており、OS比率としては、iOSユーザーの方が多くなっています。アプリから航空券購入、年間で数百億円の売り上げとなっています。

---アプリ「ANA」をリリースした目的を教えてください。

渡邊:私の所属する部署は、WEB、アプリを運営している部署で、プロモーションも担当しています。昨年までは、デジタル関連の売り上げを伸ばすことが大きな目的でしたが、今年からは、モバイルデバイスでユーザーエキスペリエンスを上げる、という目的を持っています。お客様が、航空券を購入した後に、快適に過ごしてもらうための方法のひとつとして、デジタルデバイスを活用することが大事だと考えています。

---アプリ「ANA」の機能について教えてください。

渡邊:アプリ「ANA」は2014年グッドデザイン賞を受賞するなど、好評を得ています。ただ、アプリ上でやりたいことは、我々が思う三分の一ほどしか実現していません。
現在の機能としては、iPhoneにて、航空券がPassbookと連携していることへのお客様の評価は高くなっています。こちらの機能として優れている点は、PassbookとANAのサーバーを連携しており、例えば、搭乗ゲート変更でPassbookに変更が通知されます。この通知は、サーバー経由でリアルタイムで通知されるため、空港のアナウンスより早く通知されるため、空港を頻繁に利用されるお客様に好評です。
また、お客様からいただいたご感想としては、Passbookに過去の旅行も含めて、チケットがたまっていく嬉しさがあるそうです。実はANAがPassbookを一番活用しているのではと思っています。

---新しく機能追加された、羽田空港の誘導機能について教えてください。

渡邊:空港到着から搭乗をナビゲートする機能です。iBeaconで保安検査場までご案内します。こちらの誘導機能は、電車のホームに降りた瞬間から通知が来るため、迷うことなくスムーズに搭乗口へ向かうことができます。さらに、AppleWatchでのテキスト表示にも対応しています。

Apple Watch対応について

---Apple Watchに初期から対応されていますが、どのような連動機能があるのかを教えてください。

渡邊:アプリ「ANA」はApple Watchと相性が良いと思っています。キャリーバッグなど大きな荷物を持っているシーンにおいて、iPhoneを取り出す手間なく、Apple Watchだけで情報の確認ができたらとても便利ですよね。国際線のリーダーは紙用のためまだ非対応ですが、国内線ではQRコードを表示して、Apple Watchだけで搭乗することもできます。

Apple Watchと連携機能

Apple Watchと連携機能


---Apple Wacthアプリ開発のポイントを教えてください。

渡邊:アプリ「ANA」で一番利用されている機能はマイルの残高です。そこでApple Wacthアプリでは、マイル残高・ステータス・氏名をすぐに確認できるようなデザインにしています。また、お客様へのおもてなしの心から、氏名を表示させるようにしています。実はこのような表示は、他の航空会社のアプリでは行っていません。日本独特の発想かもしれませんね。
また、誘導機能に関してですが、お客様が電車で羽田空港に着いた時の動きを考慮しています。たとえば、お客様は空港のエスカレーターに乗ってからスマホを出すことが多いと思います。そこで、改札についたときではなく、エスカレーターに乗った瞬間に通知が来るように設定をしました。片手にはバッグを持っているので、Apple Watchに通知が届くのは便利に感じると思います。

Apple Watchアプリの表示

Apple Watchアプリの表示


今後の方向性について

---今後のアプリの方向性を教えてください。

渡邊:アプリだからこそできることをやっていきたいと思っています。また、ANAらしい機能を搭載していきます。お客様の気持ちを考えると、空港では場所や時間などの確認作業が多く、東京駅などよりもそわそわする気持ちが大きく、繰り返し確認してしまうことが多いと思います。このため、お客様が情報を取りに行く必要があります。
しかし、ANAからお客様に、適切なタイミングで必要な情報を提供できれば、安心感を得ることができるはずです。全ての情報をプッシュするには、システム上は大変ですが、お客様のニーズに合わせて対応していきたいと考えています。空港情報を丁寧に伝えていきたいのです。こういうおもてなしの方向性がANAらしいところだと思っています。

---具体的な機能追加の予定はありますか?

渡邊:iOSならではの機能として、指紋認証・ジャイロセンサー・3Dタッチなどを使っていきたいと思っています。
機内での機能として、Wi-Fiと連動が可能になれば、睡眠時間や食事、トイレの空いている場所、睡眠用の音楽機能など、機内の情報を伝えていきたいです。さらに、航空券によって赤ちゃんを連れられているなどの情報がわかりますので、そのようなお客様にキッズルーム、授乳室への案内を行えると良いのではと考えています。また、荷物にiBeaconを乗せると通知ができるので、手荷物がレーンに流れる時間を通知する機能なども可能性があると思います。飛行機を降りてスマートフォンの電源を入れた瞬間にバスの案内を表示したり、空港を降りてから目的地への案内も実施してみたいです。
つまり、空港から空港まで、カスタマーエクスペリエンスを提供していきたいと思っています。航空券を購入した後の、その先のビジョンが大事だと思っています。

---アプリをリリースする上での苦労はありますか?

渡邊:客室乗務員を約5000人抱えているため、アプリのサービスインは丁寧にスタッフに周知する必要がありました。また、コールセンターにもアプリやApple Watchの問い合わせが入るため、そういったスタッフへの説明も必要でした。

---Apple WatchのWatchOS 2.0に期待していることはありますか?

渡邊:時計盤をカスタマイズできるクロックキットの機能は搭載したいです※。盤面表示に次のフライト時間などを表示すると便利ですね。また、Apple Watch単体で動くネイティブ機能も搭載したいです。電車の時間など、空港の外にいる場合は、他のアプリと連携していくという考え方もあります。ぜひ、これからも「ANA」アプリにご期待ください!
※WatchOS 2.0のアップデートにて対応済

Apple Wacthにてアプリ「ANA」をデモする渡邊氏

Apple Wacthにてアプリ「ANA」をデモする渡邊氏


アプリ「ANA」は、シンプルなデザインの裏側で、ユーザーニーズを常に考慮した「おもてなしアプリ」であることを感じることができました。ANAの利用者であれば、必ず恩恵を受けられるアプリです。活用したいですね。

■関連リンク
スマートフォン用アプリ「ANA」
Apple - Apple Watch

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