不妊症

むつごろう薬局訪問記(静岡)(3ページ目)

このたびは不妊治療を得意としているむつごろう薬局に取材に参りました。この薬局のオーナー薬剤師である鈴木寛彦先生は大学の私の同級生でもあります。

執筆者:池上 文尋

薬の効きめに関して、不妊に特化するとどうでしょう

1ヶ月で見ていいでしょうね。月に1回くらいという感じでやっています。急性疾患だと3日くらいと言っています。

むつごろう薬局さんとして、不妊の患者さんが多くいらっしゃると思いますが、どういう方が多いとか、傾向はありますか

年齢が高い人が多いですね。いろいろやってできなかった人が紹介されてきてくれることが多いです。若い方は割と証が合えば、難しくないというか、はずれていてもできてしまうことがありますよね。ヘビーの方は本当に合わせていくのが難しいです。腕が勝負になります。
kanpo

こんなものも原材料です。


やはり圧倒的に女性が多いですね。ご主人さんに一緒に飲んでもらったほうがいいような気がします。お二人で力を合わせて一緒に作っていくんだという気が増しますしね。

男性が弱っている場合に、男性が元気になる漢方はありますか?

そういう質問だと、基本的に滋養強壮剤を考えてしまいますが、実際は、精神的なストレスが圧倒的に多いのです。肝心かなめという言葉があり、健康を維持するには、肝臓と腎臓を抑えろと昔からの名言がありますね。

例えば、生殖機能全般のことを腎臓機能と仮にするならば、ストレス、堪忍袋の「勘」、肝臓の「肝」に働くのものというか、ストレス性のものが多いと思います。精神的にリラックスさせるとか、気を緩めるとか、肩の力を抜くとか、焦らないようにするとか、男性は弱いので、言葉にも弱いし、精神的に弱いので。私もそうですが、一般的に少し子供っぽいと思います。プレッシャーをかけられると弱いと思うので、気持ちを落ち着かせるお薬を使ったほうがよくなるケースも多いようです。

具体的にこういうときにはどういうお薬を使うんですか

桂枝加竜骨牡蠣湯とかですね。竜骨というのは、昔の大動物の骨で、牡蠣、牡蠣の貝殻です。牡蠣と書いて、「ぼれい」と読みます

牡蠣のメインは炭酸カルシウムです。カルシウムを飲むと落ち着きますよね。こういうものを飲んでもらったりします。こういう人って気が上に上がっているので、下半身を固めて、気の上がりを下げるのです。

医学のことを勉強すればするほど、東洋医学の奥深さが分かってきますね。何もなかった時代に 一つずつ検証されて作られてできたものですからね

人を中心として、できた医学だからですよね。すごい数の人が実験台になってきていますよね。だけど3000年続く医学なんてこれ以外ないでしょうね。

何もなかった時代だから、ものすごく感性があって、それが日本漢方で、それが畑なんですよね。感性だけで作られています。だからこそ、嘘はないし、いらないものはないし、不必要だったら抜いていくのです。
kanpo

店内の様子


少し語弊があるかもしれませんが、私たちの社会は、うそが多いし、いらないものばかりですし、どんどん貯める一方で、真逆のことをやっているのです。

漢方から学べば、シンプルに、スマートになれます。iPhoneをつくられた方も、家の中は何もなかったと言いますよね。

極めると、田畑先生もそうですが 家の中は何もないんです。余計なものは持たないんですよね。服も3着ですし、家の中何もないです。本当にシンプルです。漢方もそうです。本当にその人に必要のものだけ入れると早く治るんです。あれもこれもいれるから変わらなくなるんです。

栄養素は常に同じ恒常性を保つために必要なもので、足りないものを足そうという考え方だと思うのですが、余計に飲んでいる人が多いようですね

もっと広く考えると、昔の人から比べると、今の人の寿命が長いわけで、それは健康だからですね。それは栄養素が圧倒的にいいからです。それは否定しません。ただ、食べ過ぎる人が多いです。漢方の基本はバランスです。やりすぎちゃいけない。そこが見極められなくなるからおかしくなっちゃうんですね。

今後、これからやっていきたいこと、将来ビジョンみたいなのを教えてください

今の古方漢方を、次にいかに残せるか、継承できるかを考えています。世界的に見てみると、中国漢方はすごい力があり、世界基準を作ろうとしているんです。そうすると日本漢方は亜流になってしまって、なくなってしまうんです。

日本漢方ってものすごくいいもので、日本人みたいなもので、将来日本人が少なくなってしまいますが、日本人の精神、考えや技術力もものすごくいいものがあると思うんです。

いい日本を残そうという考えと同じで、いい日本漢方を残したいというのがあって、それをいかに次の世代に繋げていくか。でもそれは非常に難しいんです。それは豊かになりすぎてしまっているからです。日本経済や会社も同じかもしれません。ハングリーさがないですね。相撲の世界も同じですね。それは残していきたいなと思っています。

もう一つは、スペインでうちの当帰を作ってもらっています。道楽の話ですが、世界で生薬を作って、その違いを見てみたいというのもあります。それは道楽的なところなので、どちらでもいいのですが、やはり師匠、田畑先生から受け継いだ古方漢方を継承していくのが自分の役割かなと思っています。

不妊症の患者さんに向けて生活面でアドバイスをいただけますか

まずは、甘いものを減らす。先日、日本の海外支援をしている方で、戦争地域のキャンプ地に食料を運んでいらっしゃる方とお話をしました。そういうキャンプ地にはあまり食べるものはないのに、子供がいっぱい生まれるんです。だからもう産むなと言っているらしいのです。
kanpo

店内の様子です。


食べるものがないところって、自分の生命をつなげようとして、子供をたくさん作るみたいなんです。豊かになる国って子供が少なくなりますね。ということは、やはり食べ物ですね。美味しいもの、甘いもの、贅沢をしすぎると、子宝に恵まれにくくなるのでしょう。自分が満足しているから、次につなげるということがいらなくなるんですね。

断食とかが話題になっていますが、やはり食事は粗食にするということが一番です。あとは運動です。運動は縄跳び1日5000回。小倉重成先生がお話されていたことです。約60分です。

そして一番は、考えすぎないこと。考えても、変わるものではないのです。考えるんだったら、運動すること。運動すると考えなくなります。それが基本ではないかなと思っています。

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