自分自身の生活とはかけ離れたイメージをつくってしまう
日当たりの良い部屋にしたいから窓は大きく、数も多く設けて……家具を置くスペースは大丈夫?
自分の家をつくる際、こんな生活がしたいなとか憧れがあるのは勿論大切なことです。しかし中には自分自身の生活とはかけ離れたイメージをもって思い込みをしているケースもあります。
たとえば次のような思い込みです。
1.なにが何でも吹抜けがほしい
…とにかく広々とした開放感がほしい
2.リビングにはゆったりソファを
…スペースが許せば暖炉もつけて音楽が静かに流れ、ソファに座って読書があこがれ
3.テラスでバーベキュー
…週末は子どもと一緒にテラスでバーベキューがしたい
4.出窓はおしゃれにつくりたい
…窓辺には花を飾り、クリスマスにはツリーを飾りたい
5.梁のあるロフトをつくりそこを書斎に
…壁の周囲は本で埋め尽くし、閉じこもって一人になれる隠れ家的なスペースが欲しい
6.子ども部屋はしっかりとつくり勉強机をおく
…自分は兄貴と共有の部屋だったので、子どもには子ども部屋を与えたい
7.収納スペースをしっかり多くとる
…物が部屋のあちこちにとびだしてしまうので、しっかりとスペースを確保したい
以上のようなあこがれ、または現実的な要望があります。家づくりを考えた場合はいずれも正解で間違っていません。
自分の生活に必要なモノは何なのかを問い直す
たとえば、1番の吹き抜けやロフトをつくりたいというのは自由や解放をイメージさせます。また、4番の出窓や2番のリビングのソファ、3番のテラスでバーベキューは家族の円満や平和を感じさせてくれます。しかしながらこれらの持つイメージとは逆のことも合わせて考えないと、せっかくのデザインは空虚なものになってしまうのです。
逆のイメージとは、1番の吹き抜けは間が抜けた開放感に、3番のバーベキューは1年目は何回もしたが2年目からはあまりしない、4番の出窓はティッシュボックスや雑誌の置き場所になるなどです。自分の考えていたイメージとは程遠いものになってしまうのです。
大切なことは一つひとつ、本当に自分の生活に必要なモノなのか問い直す必要があるということ。さもないと誰か他の人間が言い出した生活スタイルに、自分自身の生活がかすめとられてしまうことになってしまうのです。
機徴をわきまえた施主になる
家という資産をつくるためになぜ勉強するかと言えば、日本の学校では住教育をしないためで、本や雑誌・インテリア写真を見て勉強をすることが多いでしょう。特に近年はインターネットの普及で活字というより映像の情報が多く流され、生活感のないかっこよさだけが目にとまり、それを要望する人もいます。一方パンフレットやカタログにみられる決め言葉も、本来の機能的な意味よりもむしろ「知的な住まい手」としてふるまえるようにと売る側の戦略だったりもします。ライフスタイル、エコロジー、省エネといったあいまいな言葉です。
家づくりにおいて大切なことはイメージの思い込みではなく「住まいと人間の関係の機徴をわきまえた」施主になることなのです。機徴とは表面からは知りにくい徴妙な心の動きや物事の趣きという意味です。
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