焼き菓子も魅力の「アヴランシュ・ゲネー」
「アヴランシュ・ゲネー」の「タルト キャラメル バナーヌ」（税抜1,150円）
前のページで、「アヴランシュ・ゲネー」の生菓子を紹介しましたが、ギフトに喜ばれるホールサイズの焼き菓子やパウンドケーク類など、焼き菓子も魅力的なアイテムが揃っています。これらのお菓子は、持ち帰りは常温でOKですが、焼き立てのフレッシュ感を楽しめるよう、保存は冷蔵庫でというタイプ。日保ちは物によって差がありますが、3-7日程の間です。最近はこのように、日保ちさせるための乾燥剤を入れたり、真空パックなどの加工をしたりしていない、素朴な焼きっぱなしの菓子を支持する方が増えています。
四角いクリアケース入りのホールサイズの焼き菓子シリーズの中からお勧めしたい一つが、「タルト キャラメル バナーヌ」。バーナーで焼き目をつけたバナナがごろんと大胆にのせられた見た目もインパクトのある一台です。
タルトの中のフランジパンには、しっかりとほろ苦いキャラメルがたっぷり混ぜ込まれ、その中にも焼き込まれたバナナが、南国フルーツらしい爽やかな香りを醸し出しています。しっとりしたフランジパンと、土台の生地や表面のクランブルのサクサク食感との対比も楽しめ、苦み、甘み、酸味などのバランスが見事に融合したお菓子です。
「アヴランシュ・ゲネー」の「コロンビエ テ ヴェール ～クレームオランジュ～」（税抜2,000円）
ちょっと通向けのアイテムでは、「コロンビエ テ ヴェール ～クレームオランジュ～」がお勧めです。「コロンビエ」というお菓子は、イースターから7週目の日曜日「精霊降臨祭」にいただくフランスの南西部の伝統菓子ですが、これに抹茶を使って独自にアレンジ。これまでは、フランス菓子に和素材を使うことがほとんどなく、抹茶も使っていなかったそうですが、この抹茶を作っている京都・宇治のお茶農園に見学、自ら茶摘みもして、この香りのよさを活かしたいと、今回の新作に使ったそうです。表面にアーモンドダイスが散りばめられ、薄く糖衣をかけてシャリッとした食感に仕上げているのは、クラシックなスタイルを踏襲していますが、間にクリームを挟むというオリジナルの仕上げで、オレンジ風味のバタークリームをサンド。抹茶の爽やかなほろ苦さと、オレンジのフルーティーで清々しい味わいとが実によくマッチしています。
他に「ケーク オゥ バナーヌ」、「クラシック オ ショコラ」、「パン ド ジェーヌ」などもあります。豪華に見えて、ちょっとした記念日のプレゼントや手土産にぴったりですね。
以前からのスペシャリテ、「ガトー ゴルゴンゾーラ」もこのスタイルで登場。ワインとも相性抜群で、甘党でない方にも人気の高い品です。
「アヴランシュ・ゲネー」のパウンドケーク類
ショーケース内の生菓子の上の段には、上霜シェフが得意とするパウンドケーク類が何種類も並び、思わず目移りしてしまいます。「ケーク オ テ プリュノー」（税抜1,389円）は、セミドライのプリュノーをアールグレイで自家製コンポートにし、それをたっぷり練り込んだ、とてもしっとりしたリッチな食感が印象的です。
また、ケーク生地の上にダックワーズ生地を重ねて二層に焼いた「ケーク オ キャラメル オランジェ」（税抜1,389円）や、フィナンシェショコラのような柔らかな生地にダックワーズショコラ生地を重ねて焼いた「ケーク ショコラ」（1,389円）も、オリジナリティが感じられます。
「ケーク オ マロン」（税抜1,900円）は、渋皮煮の栗が上に5粒のり、中にももう5粒入りと、計10粒も使われた贅沢な一本。
フルーツのコンフィを上に並べ一輪の花が咲いたように飾り付けた「パンデピス」（税抜1,204円）は、「ル・コワンヴェール」時代からのスペシャリテの一つで、可愛らしい見た目ながら、食べてみると程良くスパイシーな味わい。大人に贈りたいお勧めの品です。
「アヴランシュ・ゲネー」の「ルレ ブレ」
個包装の焼き菓子では、フィナンシェやマドレーヌといった定番の品の他に、「ルレ ブレ」という名のついたものが何種か揃います。これは、フランスで働いていた当時、お店のヴァンドゥーズ（販売員）の女性に、「ころっとしている」という意味のフランス語を尋ねたところ、「roule-boule（ルレ ブレ）」と教えてもらった言葉を名前にした、オリジナルの焼き菓子です。「ルレ ブレ ショコラ オランジュ」、「ルレ ブレ キャラメル」（各税抜186円）、「ルレ ブレ ピスターシュ」（税抜230円）など、ベースはアーモンドパウダー入りのフィナンシェを思わせるしっとりした食感で、それぞれ、チョコチップ入りやフランボワーズジャムのデコレーションなど、一工夫凝らされています。今後もバリエーションを増やしていきたいそうです。
「アヴランシュ・ゲネー」の各種焼き菓子
袋入りの「クロッカン」（税抜371円）や「ビスコッティ・オランジュ・エ・アブリコ」（7本入税抜340円）も、ザクザク、カリッとした食感が魅力で、気軽なおやつ感覚でいただけそうです。
店内の入り口に配置されている、ダークブラウンの大理石が重厚感を醸し出すオープンスタイルのショーケースには、見覚えがありました。それは、上霜シェフの「オテル・ドゥ・ミクニ」時代の師匠である寺井則彦シェフが、「エーグルドゥース」のオープン当時に使われていたもの。2014年に満10年を迎えられたのを機に、全面的なリニューアル工事を行われましたが、そのショーケースやレジ台を、上霜シェフが譲り受けたのだそうです。
師弟の絆を感じさせる、何よりのはなむけですね。
二人の偉大な師匠や、そこで出会った多くの人に見守られつつスタートした「アヴランシュ・ゲネー」。上霜シェフが、これまで学んできたことを活かしつつ、このお店らしいお菓子を作っていかれるのが楽しみです。
＜ショップデータ＞
「アヴランシュ・ゲネー」
東京都文京区本郷4-17-6 1F
電話 03-6883-6619
営業時間 10:00-19:00
定休日 月曜（祝日の場合営業、翌火曜休み）、火曜不定休
