はかりしれない影響の大きさ
原油流出によってどこまで被害が大きくなるのか、全く見当もつきません。■経済的影響
まずアメリカ南部、ルイジアナ州周辺の地域経済に与える影響があります。原油流出によって周辺の海が汚染されたので、船舶の航行が当面禁止になりました。この地域の漁業や観光業は休業になり、住民たちが生活できなくなっています。
BPは苦情受付センターを設置して、被害を受けた地元住民から苦情や補償請求を受け付けています。しかし、今後も被害はますます拡大・継続するので、地元の個人・企業から損害賠償請求の訴訟が相次ぐと思われます。
■環境面での被害
一番心配されているのが、メキシコ湾周辺の環境面での被害でしょう。すでに周辺では汚染されて生きていられなくなった鳥や魚などの死骸が多く見られており、今後も長期にわたって汚染は残ると思われます。今回は規模があまりにも大きいので、メキシコ湾に留まらず、地球全体の生態系への影響も出てくるかもしれません。
■政治的影響
原油流出は、オバマ政権にも大ダメージを与える事態になっています。事故発生から1ヶ月以上経っても流出を止められないアメリカ政府に対して国民の不満が高まり、オバマ政権への不信感につながっています。
2005年夏に大型ハリケーンの「カトリーナ」がアメリカ南部を直撃した際、ブッシュ大統領が素早く動かなかったため、その後支持率が下がる原因となりました。今回も流出の被害を素早く拡大できなかったオバマ大統領に対して、国民は不満が募らせています。偶然にも、流出の被害を被ったのは「カトリーナ」の時と同じルイジアナ州を中心とした南部地域です。
今後の油田開発への影響
今回の事故で海底油田に事故が起こった場合、取り返しのつかない事態になることがわかってしまいました。世界の石油は限りがあるので、今後は海底油田も積極的に開発していこうとしていた矢先の、この大惨事。オバマ大統領は5月27日、アメリカ政府が新たな海底油田開発に与える許可を今後半年間は与えないという方針を示しました。
今後は一層の安全対策が求められると思われるので、海底油田開発もコストが高くなり難しくなっていくでしょう。