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大型台風と集中豪雨が日常化 住宅の備えはどうする!?(2ページ目)

台風シーズンの到来です。先日到来した台風15号は、九州に上陸。大規模な停電や交通機関のマヒなど各地域に大きな影響をもたらしました。今後、台風は巨大化することが懸念されています。この記事では、台風はもちろん、集中豪雨などの際に、住まい、あるいは私たちがどうあるべきなのか考えていきます。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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先日、あるハウスメーカーの経営者と話をしていたのですが、その時のお話が衝撃的でした。今回の台風15号でも発生した集中豪雨について「これ以上(の規模の雨)になると、現状では対策の打ちようがない。どこのハウスメーカーでも同じ悩みを抱えているのではないか」ということだったからです。

雨どいの許容排水量を超える恐れ 

ご存じかも知れませんが、住宅には必ず雨どいが設置されます。屋根やベランダなどに降った雨はこの雨どいを通して住宅の外へと導かれます。しかし、その雨どいで排出できる水の量が、台風時の大雨や集中豪雨では許容量を超えてしまう可能性があるというのです。

雨どい

一般的な雨どい。雨どいの排水量(降雨強度)は地域によって異なり、160ミリから100ミリまで4段階に分かれている。今後はその許容排出量を超えることも懸念される(クリックすると拡大します)

現状、雨どいは最高強度のものであれば1時間あたり160ミリ程度までは排水可能だといいます。しかし、前ページでご紹介したように台風15号では120ミリを記録した地域がありました。今後台風が巨大化すれば、雨どいの許容排出量を超えるような事態もありえるのではないでしょうか。

問題となる箇所はまず屋根。寄棟屋根や切妻屋根の建物の場合は、雨水があふれてしまうだけですが、問題はフラット屋根。屋根から少し壁を立たせているケースがあり、集中豪雨で想定以上の雨が降ると、屋根の上がプールのようになりかねません。

そうなると、経年劣化などで防水効果が弱まっている場合、水漏れが発生することも考えられます。住まいにとって雨水の浸入による湿気は大敵。建物の構造材の強度を劣化させてしまうからです。

もっと大きな問題箇所はベランダです。ベランダのタイプにもいろいろありますが、建物と一体化しているものについては、雨どいの許容排出量を超えてしまうと、そこに雨水が滞留してしまい、フラット屋根と同じような状況になります。

最近、サッシとベランダをフルフラットにできるタイプの人気が高まっていますが、これの場合はもっと問題が深刻といえるかも知れませんね。いずれにせよ、雨どい以外に雨水を逃がす経路を確保しておくことが、これからの時代は大切といえそうです。

また、既存住宅(皆さんが既にお住まいの住宅)では、ベランダの排水溝に溜まっている枯葉などをこまめに除去しておき、できるだけ雨どいから雨水を排出しやすいように注意しておくことが必要でしょう。

住宅回りの飛散防止がより重要に

ベランダの排水口の状態については普段、気に留めるものではありませんが、集中豪雨が日常化しつつある現在では、それを健全に保っておくことが住まいの安全・安心を保つために重要な項目になりそうです。もちろん、地下室の設置についてもできるだけ慎重な検討が必要でしょう。

飛散

台風による猛烈な風は、時に屋根瓦などを簡単に吹き飛ばしてしまうことがある。台風の巨大化が進むことが予想される今後は、このあたりの対策にもより強化が求められそうだ(セキスイハイム蓮田工場内の様子。クリックすると拡大します)

一方、強風への対策も、これからはより重要になりそうです。台風15号では石垣島で瞬間風速71メートルが記録されたそう。メガ台風の到来が日常化すれば、国内のどこにいてもそんな状態が普通になるかもしれません。

屋根瓦やスレートの設置強度はもちろんのこと、最近は太陽光発電システムなど屋根の上に設置するものが増えていますから、それを含めた耐風性への配慮が求められそうです。

庭を含めた住宅まわりの飛散防止も大切になるでしょう。家の中はキレイなのに住宅まわりはあまり整頓されていないというケースも目立ちます。安心・安全のため庭などの整理をしておくことをおすすめします。

前ページで紹介した頭にケガをした男性のようなケースもあります。できれば地域ぐるみで美観を保つ取り組み、例えば余計なものを住宅の外に放置しない、などということをしておけば、台風の際にも街の安全を確保することにつながるのではないでしょうか。

もっとも、このような対策をしていても必ずしも全てを防ぎきれるとは決して言い切れません。ですが、それは大地震や竜巻などでも同様です。できるだけの災害対策をしておき、家族や地域の中で危機意識を共有しておくことで、被害を減らせる可能性はずっと高まるはずです。

まだまだ、台風シーズンは続きます。また、大地震などの災害への備えを心がけておくよう、老婆心ながらこのような記事を用意してみました。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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