しなやかな乗り味
さて、追加された純ガソリン仕様の「RS」は、フィットなどでもお馴染み、古くは1970年代のシビックまでさかのぼるようだが、「ロードセーリング(Road Sailing)」の略で、「レーシングスポーツ」のではないのはご存じのとおり。
「Sailing」は帆走、出帆などの意味もあるように、「Road Sailing」には風を受けて海(道)を進むヨットのようなイメージも込められているとすると、乗り心地の良さは欠かせないのだろう。
歴代のフィットなどではやや硬い印象もあった「RS」だが、先述したようにジェイドRSは「Road Sailing」のイメージどおり滑らかな乗り心地を味わえる。一般道から高速道路、山岳路までシーン、速度域を問わず印象は大きく変わらず、3列シート車にふさわしい味付けだ。
しかも、ハイブリッド仕様のジェイドと比べると、全体に軽快感がある。車両重量はハイブリッドも純ガソリン仕様の「RS」もほとんど変わらないから、新型ステップワゴンから搭載されている1.5Lの直列4気筒DOHCターボの恩恵もあるかもしれない。
力強い加速感も印象的
150ps/203Nmを発揮する1.5Lターボは、100~150kgほど重いステップワゴンでも必要十分な動力性能を確保しているだけに、大人2~3人分軽いジェイドRSなら十分どころか、予想よりも速い!「ECON」スイッチをオンにしたままでも軽快だし、オフにすれば高速道路の追い越しや山岳路でも力強い加速が得られる。
軽快なハンドリングとフットワークのよさもストリームの美点を受け継いでいる。ジェイドRSに備わる「アジャイルハンドリングアシスト」は、レジェンドにも搭載されているが、ブレーキを制御することで旋回性やライントレース性を高める装備。
「アジャイルハンドリングアシスト」の介入を感じさせるほど違和感も抱かせず、3列シート車でも「運転が退屈なのはイヤ」という方にこそジェイドRSの価値があるというものだろう。
トランスミッションはCVTなので、ダイレクト感は薄いものの回転ばかりが上がって速度が付いてこないという、CVTの難点もよく押さえ込まれているし、パドルシフトも備わるからCVTとはいえ、退屈な変速にならずにすむし、もちろんイージードライブも可能。
運転の楽しさが味わえるジェイドRSだが、アクセルペダルの踏み過ぎを反力で伝える「リアクティブフォースペダル」は、気持ちよくはない。アクセルを踏んでいく途中で板を踏んでしまったような感触で気持ちよさをスポイルしてしまうのだ。
運転の楽しさも求めるなら適任
省燃費運転は時代の要請だろうが、こんな装備がなくてもドライバーの工夫と意識ひとつでエコドライブは可能だし、車両側ももっと根本から燃費を磨き上げて欲しい。
ハイブリッドも含めてジェイドの乗り心地、パッケージングなどはよくまとまっている。ロールーフ・ミニバンの市場は、ミニバンの中ではニッチだろうが、今後も魅力をブラッシュアップさせてロングセラーになって欲しい一台に仕上がっている。