「未破裂動脈瘤」とは

「動脈瘤」は、脳血管で中小動脈の壁が瘤(こぶ)状に変形する疾患です。

動脈瘤

   脳動脈が変形して瘤状になった状態が動脈瘤です。


破裂する前の状態が「未破裂動脈瘤」です。重要な状態と考えられる理由は、動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血が発生し、死亡、重篤な後遺症が残る可能性が非常に高いからです。くも膜下出血は働き盛りの中高年に好発します。

脳MRI、CT検査の普及、脳ドックの普及に伴い未破裂動脈瘤の方が増えています。症状が何もなく、病院を受診する必然性はないので今後の方針について迷う方も多いでしょう。

動脈瘤の発生部位としてはウィリス動脈輪、中大脳動脈の枝、脳底動脈、椎骨動脈など様々の部位に発生します。

ウィリス動脈輪

  脳血管のウィリス動脈輪を中心に動脈瘤は発生します。


未破裂動脈瘤の年齢、性差

年齢は中高年の40歳から70歳に多くみられ、女性が2/3と多い傾向です。

未破裂動脈瘤の原因

明確な原因は不明ですが、脳動脈の壁に生まれつきの欠損、生まれた後の感染などによる障害など様々な原因から、動脈の機械的強度が低下し、血圧の上昇なども誘因となり、動脈の血管径が局所的に増大することが原因と考えられています。喫煙、大量の飲酒、高血圧も動脈瘤の誘因とされています。

未破裂動脈瘤の症状

ほとんどの未破裂動脈瘤は症状がありません。瘤が巨大化し、頭痛、眼痛などの症状が出現することがあります。

未破裂動脈瘤の診断

■MRI
MRI検査でMRAという血管診断で動脈瘤は診断されます。

MRI

             MRI画像


MRIでは血管以外の脳の構造がより明瞭に診断可能です。

■CT血管造影
造影剤を使用したCTでは脳血管を直接診断することが可能です。被爆、造影剤による副作用の可能性があります。

CT

CT血管造影像。明瞭に血管が描出されています。


未破裂動脈瘤の治療法

まず未破裂動脈瘤が破裂する可能性を予測します。この予測に大切な要因として動脈瘤の大きさ、動脈瘤の部位があります。

2012年にThe New England Jounal of Medicineに日本人6413人を追跡した論文が発表されました。追跡中に111回の動脈瘤の破裂がありました。動脈瘤が10mm以上となると、年間で5%程度の破裂の可能性があり、さらに25mm以上となると30%程度の破裂の可能性と報告されました。その一方で、6mm以下の動脈瘤が破裂する可能性は1%以下でした。

■経過観察
破裂する可能性が低いと考えられる動脈瘤に対しては、年に1、2回の検査を行い動脈瘤の大きさを観察します。大きさが大きくなったら始めて治療を検討します。大きさが不変であれば、検査を続けます。

■開頭手術
以前からある治療法で、動脈瘤の根元をクリップと呼ばれる金属で遮断する手術です。手術ですので術後の合併症の可能性があります。

手術

手術により動脈瘤の根元に金属を留置します。


■コイル塞栓術
局所麻酔で、血管の中に金属のコイルを入れ動脈瘤の中に誘導します。血栓を動脈瘤の中に作成し、動脈瘤の破裂を予防します。比較的合併症を少なくして動脈瘤の治療が可能です。しかし2つ目以降の動脈瘤の治療がやや難しくなるとされています。

コイル

血管内治療でコイルという金属を動脈瘤の内部に誘導し血栓を作成します。


いずれの治療でもかなり専門的な治療になりますので、担当医とよく相談の上治療を進める必要があります。セカンドオピニオンが必要な場合もあるかもしれません。

未破裂動脈瘤の予後

未破裂動脈瘤は小さなものであれば経過観察で十分な状態です。大きなものは治療が必要と考えられます。予後はこの二つで異なります。


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