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夏に行きたい「変わり湯」の宿2選(2ページ目)

夏のピークも過ぎ、これから秋に向かおうといってもまだまだ暑い日々。そんな日に、鋭気を養うために覚えておきたい温泉を2軒ご紹介。ふつうの温泉と違うため、あまり雑誌などでも紹介されない「汐湯」と「炭酸泉」の宿。ちょっと変わり湯かもしれませんが、夏のパワーチャージにはぴったり。あなたも隠れに行きませんか!?

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド

炭酸泉の宿 泉岳舘

夏といえば、「ぬる湯」。人の体温と同じくらいの湯で、入るとヒヤッとするので特に暑い夏にもっていこいの温泉だ。ぬる湯は全国各地にあり、福島県の「微温湯」、新潟県の「栃尾又温泉」、山梨県の「下部温泉」などが知られている。

 

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右が35度のラムネ泉。左は40度の加温泉。

そのなかでも、ぜひ一度体験してほしいのが天然の炭酸泉。炭酸泉とは1リットル中炭酸が1000mg以上溶け込んでいる温泉のこと(それ未満は炭酸水素塩泉)。日本では、大分県の長湯温泉が有名だが、今回紹介するのは、岐阜県の湯屋温泉。近くの下島温泉とともに、炭酸成分を多く含む炭酸泉(含二酸化炭素-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉)の温泉である。

 

炭酸泉は、ボイラーで一気に加熱すると炭酸が飛んでしまう。つまり、「気の抜けたサイダー」状態になる。また、湯が空気に触れるとその瞬間に酸化が始まり、成分は褐色の湯の華となり、さらに撹拌されると黄褐色になる。そのため、炭酸泉=黄褐色というイメージもあるかもしれないが、生まれたての湯は無色透明だ。

 

炭酸泉は、よく「ラムネ湯」と称されることもあるように、炭酸成分が飛んでいない状態の源泉であれば、湯の成分に含まれる炭酸が気泡となり、湯に浸かっていると全身が気泡だらけになる。ただし、一気に加熱すると炭酸が飛んでしまうので、源泉そのままの冷泉に浸かることが多い。例えば、長湯温泉の「ラムネ温泉館」の炭酸泉(源泉)は32度のぬる湯。露天のぬる湯にゆっくりと浸かり、瞑想するのがスタイルだ。

 

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浴槽の底から細かな気泡が浮かんでくる

さて、湯屋温泉「泉岳舘」の炭酸泉。こちらの源泉は15度。そのまま入るには少々冷たい冷泉だ。そこで、泉岳舘では、浴槽の底に熱湯管を配し、熱伝達で炭酸成分を壊さないようにじわっと湯を35度のぬる湯まで温めている。浴槽の底からはぷくぷくと気泡が浮いていて、湯に浸かり5分もすると全身泡だらけになる!

 

10分ほど浸かると最初ひんやりしていた体の芯から温まってくるのがわかる。炭酸ガス効果で全身の血行がよくなるためだ。その結果、血圧が下がり、心臓の負担を軽くしたり、副交感神経に効いて穏やかな気持ちになるといわれる。まさに炭酸泉マジック!

 

泉岳舘では、食事にも炭酸泉を使っている。夕食では、炭酸泉で炊いた湯豆腐(だんだんと溶けてくる)や、シュワシュワした湯で脂分が溶ける飛騨牛のしゃぶしゃぶなどの人気が高い。

 

客室は清流に面したシンプルな和室が中心。露天風呂付きもあり、外国からのお客様にも人気だという。

 

炭酸泉デビューなら暑い夏が最高だが、もちろん、夏以外でも温泉好きにはたまらない泉質だ。気の合う温泉好き仲間と行く、とっておきの宿として覚えておきたい。

 

旅館データ

汐湯 凪の音
佐賀県唐津市浜玉町浜崎1613(最寄駅:JR筑肥線浜崎駅)
0955-56-7007

炭酸泉の宿 泉岳舘
岐阜県下呂市小坂町湯屋427-1(最寄駅:JR高山本線飛騨小坂駅)
0576-62-3010

 

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