Franz Ferdinand
この表紙は、アレクサンドル・ロトチェンコがデザインした超有名な「レンギス」の広告ポスターです。このデザインは、ユニクロがSPRZNYのシリーズの一つとしてTシャツにしていました。実は、僕はそのTシャツを買ったのです。で、娘が勝手にそのTシャツを着て外出したら、それを見た人から「Franz Ferdinand」と言われたと(笑)。惜しい! 「第3回ロシア構成主義展」でも一部紹介しましたが、Franz Ferdinandの初期のジャケはシングルも含めて、ほぼ全部がロシア・アヴァンギャルドからの援用です。アレクサンドル・ロトチェンコ (UNIQLO)
Franz Ferdinand - You Could Have It So Much Better (amazon.co.jp)
ソヴィエトスタイル
『ロシア・アヴァンギャルドのデザイン』が素晴らしいもう一つの点は、代表的と言える映画・商業・政治ポスターだけでなく、本・絵本、詩、絵画、陶芸、建築、舞台デザイン、音楽、演劇、映画、ファッション・テキスタイルまで幅広く具体例をもって網羅されていることです。アヴァンギャルドは総合芸術である証です。最近、ビジネスの世界でもデザインという言葉も有形無形を問わず、あらゆる分野に使われますが、基本的に通じる観念かと思います。ロシア・アヴァンギャルドのスポーツ・ユニフォームなんかは、100年前のものとは到底思えないモダニズムを感じます。ちょっと古い本ですが、お勧めしたい本が二つあります。一つは、『ソヴィエトスタイル』というロシア構成主義的な100点の連続パターン・グラフィックデザインを収録した本です。Tomi OladipoとWillliam Orr Sweeneyの二人によるイラストですが、当時のテキスタイル・デザインをモチーフに作られたものだと思われます。嬉しいのは、jpegファイルを含んだCD-ROMが付属になっており、全てロイヤリティーフリーで使えることです。僕は、facebookやTwitterのバックグランドとして愛用しています。
SOVIET STYLE (amazon.co.jp)
アヴァンギャルド1920
よく悩んでしまうのが、これはロシア・アヴァンギャルドなのか、それとも他のモダンアート様式なのかということ。ほぼ同時代に起こったドイツ表現主義、キュビズム、イタリア未来派、ダダイズム、デ・ステイル、バウハウス、アール・デコなどは、お互いに影響しあった部分があって、特に援用で新たにつくられたデザインである場合、判別が容易でないこともあります。もちろん、これは間違いないみたいなステレオタイプなものもありますが。他の様式との関係も、『ロシア・アヴァンギャルドのデザイン』で触れていますが、もう一つ読むのなら、『特集★アヴァンギャルド1920―前衛に、遊べ!』をお勧めしておきます。アヴァンギャルドをテーマに年表なども組み込んで、幅広く解説しています。
特集★アヴァンギャルド1920―前衛に、遊べ! (amazon.co.jp)
では、次回からは、実際に「共産テクノ」から見つけた本場のロシア・アヴァンギャルド的ジャケを紹介します。