乳幼児揺さぶられ症候群
「乳幼児揺さぶられ症候群」は英語でShaken Baby Syndrome(SBS)と言われ、アメリカで最初に報告されました。激しく乳幼児が揺さぶられた時に起こる様々な症状を総称しています。乳幼児は身体と比較して頭の割合が大きく、首の筋肉も成人ほど強くありません。特に生後3~4ヵ月までは、首や頭が座っていないとよく言われる時期です。特にこの年齢で頭が激しく揺さぶられることで、脳が頭蓋骨に当たって損傷が起きたり、脳の中の血管が切れてしまって、脳の中や頭蓋骨と脳の間に出血を起こします。
無数の神経が集まる脳に損傷を起こすことで、様々な症状が出てきます。また、治療しても、後遺症が残ることがあります。そのため、予防しなければいけない病気ですし、予防ができる病気でもあります。
乳幼児揺さぶられ症候群の原因
名前の通り、乳幼児を揺さぶることで起こります。そこで、なぜ乳幼児を揺さぶることになったのか、その理由が重要になってきます。- 泣いているので、あやすつまりだったが、激しくゆすってしまった
- 泣いているのにイライラして、激しくゆすってしまった
- 泣いているのに腹を立て、ぐいと押したり、ポンと放り投げってしまった
- 叩いたり、殴ったりした
などの乳幼児への衝撃によって脳細胞が破壊され、脳は全体として低酸素状態となります。それに伴う症状が出現します。
乳幼児揺さぶられ症候群の症状と後遺症
ぐったりして機嫌が悪いという状態が一般的です。- 元気がなくなる
- 機嫌が悪くなる。
- 起こしてもすぐに眠ってしまう傾眠傾向
- 嘔吐
- けいれん
- 呼んでも答えてくれない意識障害
- 呼吸するのが苦しくなる呼吸困難
- 昏睡
- 死
などです。これらの症状は、脳の周りでの出血(硬膜下血腫、クモ膜下血腫など)や脳の中の出血(脳出血)、網膜出血などによるものです。
もし、乳幼児を揺さぶって、元気が無くなったら医療機関へ
- 言葉の遅れ、学習障害などの発達の遅れや知的障害
- 手足が麻痺する脳性まひ
- 脳細胞の破壊によるけいれん
- 網膜出血などの後の失明、視力障害
などの後遺症が残る可能性があるわけです。
次のページでは、乳幼児揺さぶられ症候群の診断、治療、予防について解説します。