歯科インプラント

フラップレスオペ…低侵襲インプラント手術

外科手術の傷口が大きく治りに時間が掛かる。患者さんにとって大きい負担となってしまう要因のひとつです。しかし医療の進歩により病状によってはわずか数ミリの穴を開け内視鏡やカテーテルで治療を行うことも可能となっています。では口腔外科における低侵襲手術とはどのようなものなのでしょうか?

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

フラップレスオペの条件

歯肉の切開剥離なしでインプラントを埋入する手術をフラップレスオペと言います。歯肉と歯槽骨の切開剥離がないということは、メスを入れる箇所も少なく痛みや腫れを最小限にすることができ、治癒も早いというメリットがあります。ただしフラップレスオペを行うには様々な条件があり、特に下記2点の条件をクリアしていることが重要なポイントとなります。

  1. CTで3次元的に歯槽骨の形態や神経の位置を把握し、十分な骨量と神経までの距離を確保できているか確認できること。
  2. 抜歯してから3ヶ月以上経過しており、インプラント埋入時に複雑な骨造成を行う必要がないこと。

フラップレスオペの注意点

歯肉と歯槽骨を切開剥離しないということは、歯槽骨を見ずにブラインドで手術を行うこととなります。その為本来のインプラント手術以上に単純なミスに注意しなければなりません。

例えば歯槽骨の温度上昇やインプラントの埋入深度の見誤り。歯肉を剥離していない為注水が届きにくく歯槽骨を過剰に温度上昇させてしまうこともありますし、歯槽骨が見えない分被さっている歯肉の厚みを正確に判断にしていなければインプラントの埋入深さが浅すぎたり深すぎたりしてしまうという、歯肉の切開剥離をしていれば起こらないであろうミスにも注意して手術を行う必要があります。

フラップレスオペのとあるケース

ケースを選んで正しい術式で行えば、縫合もない為わずか5分足らずでインプラント埋入手術は終わりますし、術後の腫れや痛みもほとんど感じることがなくまさに低侵襲な手術が完了するわけです。場合によってはインプラント前の抜歯よりも楽だったという患者さんも…

乳歯抜歯後のインプラント埋入

乳歯を抜歯しインプラントを埋入。前後の健康な歯を守るための選択。

写真のケースは手術時間なんと3分。元々永久歯が存在せず乳歯がいつまでも残っている状態であった患者さん。しっかり温存してきたが赤ちゃんの頃から存在する乳歯を虫歯の魔の手から守ることは出来ませんでした。進行した虫歯に限界が来て抜歯を選択。1歯だけの補綴の場合は前後の歯に負担をかけないインプラント治療をおすすめします。

入れ歯は違和感が大きくクラスプという安定させるためのバネが負担をかけることとなり、ブリッジでせっかくの健全歯を削ってしまうのも……。親知らずがまだ綺麗に残っている場合はそのまま移植することも可能ですが、サイズが適合する場合のみに与えられるチャンスです。患者さんもインプラント治療を選択となりました。

まず重要なCTでの精密診断。歯槽骨の量、神経までの距離、歯肉の厚みを計測。歯槽骨も十分で歯肉にも問題ありません。わずか4ミリの切開でインプラントを埋入でき、加えて歯肉を貫通させる延長ヒーリングキャップを固定。インプラント埋入後期間を空けて2回目に行う手術も同時に行うことができました。更に2ヶ月後には最終の型採りからクラウンの装着で完了です。

フラップレスオペを的確におこなう為に

フラップレスオペ後

フラップレスオペ後。出血もほぼ無い。縫合も不要。

フラップレスオペの場合は写真のように出血もほとんどなく術後につきものの縫合も不要です。メスを入れることもない為虫歯治療や抜歯といった通常の歯科治療で行う局所麻酔で十分事足ります。

ただし、フラップレスオペは先述した通りあらゆる条件が揃ってこそ実現できる手術法です。メスを使った外科処置が苦手だから、切開剥離後の縫合が上手にできないからといって簡単に選択できるものではないのです。以前よりも、CTによる3次元データ確認といった術前情報が増え、手術をより正確におこなえるようになったことでフラップレスオペを選択する機会が増加しただけなのです。


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