オペラ/おすすめのオペラ作品解説

オペラの中のオペラ『ドン・ジョヴァンニ』の楽しみ方(2ページ目)

モーツァルトと台本作家ロレンツォ・ダ・ポンテのコンビによる3大オペラの一つで、「オペラの中のオペラ」と評される『ドン・ジョヴァンニ』。その主人公であるドン・フアンの魅力と、お勧めの名盤をご紹介します。

メサマデロ  アントニオ

執筆者:メサマデロ アントニオ

オペラガイド

お勧めの『ドン・ジョバンニ』 CD、DVD

幸運なことに、『ドン・ジョヴァンニ』は、CDやDVDで素晴らしい演奏と歌声が楽しめる作品です。これは、他の名作と比べて珍しいことで、名作の中にはCDやDVDでは堪能できないものも多いのです。

1930年代屈指の指揮者であるフリッツ・ブッシュの『ドン・ジョヴァンニ』は古い録音ですが、ぜひお勧めします。 ブッシュの指揮は、新鮮でありながら力がみなぎり、劇的です。歌手にも恵まれており、オーストラリア人ジョン・ブラウンニーは美しいイタリア語で歌い、サルヴァトーレ・バッカローニは従者レポレロ役を面白おかしく演じています。100年近く前の録音ですが、音は驚くほどしっかりと響きます。

次にお勧めしたいのが、1954年のザルツブルク音楽祭でのヴィルヘルム・フルトヴェングラー 指揮の録音です。 チェーザレ・シエピは、正真正銘のバリトンの力強い声でドン・ジョヴァンニを表現し、女性歌手、エリーザベト・シュヴァルツコップ、エリーザベト・グリュンマーとエルナ・ベルガーはそれぞれの配役を完璧に歌い上げています。テノールのアントン・デルモータは、期待を裏切らない声でドン・オッターヴィオを演じました。

DVDをご覧いただければ、現在に至るまで、この『ドン・ジョヴァンニ』を超えるほどの公演はないと言われている訳もわかることでしょう。

オペラに造詣が深い人たちは、1959年録音のカルロ・マリア・ジュリーニの『ドン・ジョヴァンニ』.がお気に入りです。主人公を演じるエバーハルト・ヴェヒターのまるで急いでいるような歌い方は、ドン・フアンの衝動的な性格にぴったりです。

ジョーン・サザーランド、ジュゼッペ・タッデイなどの脇役も美声を披露しています。当時にしてはレベルの高い録音で完璧な音が楽しめます。

ジュリー二のとてもイタリア的な『ドン・ジョヴァンニ』と対照的なのが、1966年に録音されたオットー・クレンペラーのドイツ的な『ドン・ジョヴァンニ』です。喜劇にもかかわらず重厚で、ゆったりとした録音で、ニコライ・ギャウロフのドン・ジョヴァンニは、低く、太い声で、歴代のドン・ジョヴァンニの中でも有数の名演と言えるでしょう。

ドン・ジョヴァンニの生意気なところ、自己完結的な性格を余すところなく表現しています。 ニコライ・ゲッダ は、エレガントにドン・オッターヴィオを歌いましたが、残念なことにソプラノのクレア・ワトソンだけは力量不足が目立ってしまっています。それでも、一聴に値する名盤と言えるでしょう。

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