連載:「アラフォーの“傷跡”。ずっと誰かに言いたかった」第一回
40歳は、女性にとって「大きな壁」となる。これまでの人生を振り返り、迷い、葛藤、後悔…で立ち止まってしまう人もいる。しかし、まだ人生は続いていく。「これまで誰にも言えずに、苦しんできたこと」をテーマに、アラフォー女性が背負っている様々な事情や悩みを聞く連載、第一回です。 わたしは「不倫」と呼ばれる恋愛をしている人たちに、15年にわたって取材をしてきた。個人的には不倫を推奨はしないし、迷うならやめておいたほうがいいと思っている。しかし、実際にしている人がいる限り、やはり私は話を聞き続けると思う。
40歳独身、不倫の恋歴15年のメグミさん(仮名=広告関係勤務)は、今、彼への若干の恨みつらみも抱えながら、身動きがとれない状況の中で、もがいている。
「私、結婚できない」何度も別れようと思った
――15年間、不倫の恋をしているそうですが、出会いのきっかけは?メグミ:いつの間にか15年たっちゃいましたね。古典的かもしれないけど、私の場合は、職場です。大学を卒業して配属された部署で、3年目に課長が替わった。それが彼だったんです。私より10歳年上。すでに結婚していて、子どももふたりいました。当時、6歳と3歳の子が、今や21歳の大学生と18歳の高校生。相手の子の年を考えると、長いことつきあってきたんだなと思います。
――どういう場所で会っていたんですか?
メグミ:私、彼とつきあうようになってからひとり暮らしを始めたんです。会社と彼の家の中間くらいに。そうすれば寄りやすいかな、と思って。それは大成功だったんですよね。まれに仕事が遅くなったとき、会社に泊まっていた彼が、うちに泊まるようになった。
――本当に好きなんですね、彼のこと。
メグミ:学生時代からつきあっていた人がいたんだけど、社会人になってすぐ別れて。それから会社の同僚とも少しつきあったけど、やっぱりしっくりこなかった。彼のことは仕事の大先輩として尊敬していました。男としても惚れ込んでいたんです。
――それが少しずつ、気持ちが変わってきた?
メグミ:最初に戸惑ったのは、30歳になるころ。周りもそろそろ結婚し始めていたし、このままだと「私、結婚できない」って焦りました。でもちょうど、仕事もものすごく楽しくなってきて。
――彼は当時、何か言ってました?
メグミ:そのあたりはズルくてね。私の30歳の誕生日にレストランで食事をしながら、「30代のうちに結婚したほうがいいよ」って。あんたに言われたくないって心の中で思いました(笑)。
でもねえ、大好きだったから、頷きながらも、私はあなたから離れられないと思っていましたね。ただその2年後くらいかな、彼が部署を異動になったんですね。違う部の部長だから昇進なんですけど。前よりもっと忙しくなって、もう会えないかもしれないと思った。ある意味では、別れるチャンスかもしれない、とも感じていました。
――でも別れることなく……。
メグミ:彼はいつも、「きみに好きな人ができたらいつでも言って。オレは静かに身を引くから」って言ってたんですよ。なのに、私が「これから行ってもいい?」と言う彼のメールに、「今日は家で仕事するから」と返すと、「オレのこと嫌いになったの?」って……。そのころから、なんとなく彼は私をリードする存在ではなくなっていったのかも。
――頼ってくるようになった?
メグミ:ある意味、本音が出てくるようになったんでしょうね。家であまり大事にされていない感じもあったし。それなら私がかばってあげなきゃ、こんなに素敵な人なんだからと思っていた。
>>彼との別れをずっと考えながらも……