来栖けいさんが手掛ける初のパティスリー「ボニュ」(2ページ目)

ナチュラル

高知・四万十町で生まれる放し飼いのオーガニック卵「神果卵」（1個324円）を使ったプリン。
卵の卵白と卵黄の黄金比率を大切にしたいという意味を込め、卵黄を敢えて加えず、全卵、木次牛乳、グラニュー糖のみで仕上げています。
卵白のコシを生かした、ツルリとした滑らかな喉越しのプリンは、すっと口の中で溶けていきます。
生クリームを加えて滑らかにするのではなく、あくまでも焼き上がりの温度、そして卵と牛乳の比率で滑らかさを表現。
材料の分量はもちろん、蒸し焼きで焼き上げる温度、また全体に均一に火が入るように何度も試行錯誤した結果生まれた極限の滑らかさ。
すっきりとした雑味のないプリンは、食べきってシミジミと美味しいと唸る逸品です。

ナチュール　

「神果卵」の全卵と「木次牛乳」そしてグラニュー糖、少量の小麦粉のみで炊き上げた、サラリとした口どけのクリームが入ったシュー・ア・ラ・クレーム。
こちらも「一つの卵」の意味を考えた上で全卵を使用。バニラビーンズを加えることなく、ミルキーでシンプルなクリームは、その口どけの良さに幸福感を感じます。
フランス産パムプリーAOC発酵バターを使用したシュー生地の香ばしさと深みが味を引き締め、軽い塩味がクリームの味を引き立てています。
クリームを詰めてから時間をおくことで、クリームと一体化したシュー生地はモッチリとした歯ごたえが印象的。

ノワール　

特別に調合されたドモーリのチョコレート（カカオ72％）を生クリームやバターを使わず、水のみで仕上げたガナッシュが、口の中ですっと溶けていきます。このガナッシュとガナッシュをベースにした粉の少ない生地を幾重にも重ねたガトーショコラ。上には艶やかなグラサージュがかかっています。
ショコラが口の中で滑らかに溶けていくときに、リキュールのような芳醇な香りが不思議と感じられます。ショコラがもつ発酵の風味なのでしょうか。チョコレートそのものを食べる以上にショコラの風味が繊細に感じられるガトーショコラです。
常温にするとトロリと溶けていき、味の変化もでてくるので時間の経過ごとに楽しみたい。

次のページではマカロンと焼き菓子をご紹介します。