大自然に囲まれた土地で、32の民族が暮らすサバ州
サバ州のシンボル、キナバル山。富士山よりも高い標高4,095メートルで、東南アジア最高峰の山
また、30をこえる民族が暮らす多様性に満ちたエリアで、マレーシアのおもな民族であるマレー系、中国系、インド系にくわえ、カダザン・ドゥスン族、ムル族、ルングス族など、様々な先住民族が暮らしています。先住民族は、民族ごとに固有の言語をもち、宗教もさまざま。クリスチャンの人が比較的多いようです。また、自然とともに生きている先住民族。彼らが1年で1番大事にしているお祭りが「カアマタン」。英語で「ハーベストフェスティバル」と呼ばれ、自然に感謝をささげる収穫祭です。
米の精霊に祈りをささげる祭り
毎年5月30日と31日の2日間、収穫祭のファイナルイベントがKDCA会場で開催される
収穫祭のモチーフである稲穂がゲートに飾られていた
約1ヶ月続くカアマタンのフィナーレが、コタキナバル市内から車で15分、ピナンパン地区にあるKDCA(カダザン・ドゥスンン・カルチュラル・アソシエーション)で行われる大イベントです。
大人も子供も、伝統音楽を演奏
民族ごとに音楽隊がいて、伝統音楽を生演奏している。カダザン・ドゥスン族のエリアでは約30人の大演奏
ビサヤ族の演奏風景。10~20代ぐらいの若い男性が演奏していた
踊りはウェルカム!飲みながらステップをふんで
カダザン・ドゥスン族の鳥をモチーフにした踊り。その昔、稲作の外敵である鳥を追いやるために、みんなで大鳥に扮して踊ったのが始まり
もち米をイースト菌で発酵させて作る酒「リヒン」を配る男性
カダザン・ドゥスン族のコーナーでは、輪になってみんなで踊っていて、私も誘われるがままにジョイン。日本の盆踊りによく似た簡単なステップのくり返しで、とても楽しい! そして、しばらく踊っていたら、中央で踊っていた男性が、サバ名物の地酒「リヒン」をコップに次いで、配り始めました。なんと、踊りながらのお酒を飲むのです! よく見れば、演奏している人たちの手元にもビールの空き缶がごろごろ転がっているし、カアマタンにお酒は欠かせないとか。午後にもなると、会場は宴会場へと化していました。
木製のトランポリンでいっせいに高く飛ぶ
狩猟民族・ムル族のエリアでは、木製のトランポリンでジャンプ!
どのエリアも、マレーシアの伝統的な風景や風習を再現したものでした。それなのに、私が思い出したのは、日本の夏祭り。子供が踊り、大人が飲み、友人と語り、全員で楽しむ光景は、子供のころに体験した夏祭りそのもの。カアマタンを取材している最中、私の身体のなかに、昔の田舎の夏祭りの匂いや空気が甦ったみたいでした。もう大人になってしまったけど、子供のころ、とても楽しかったなぁ。世界中で共通している、感謝をささげるお祭りに乾杯!