“騒がしさ”対策も万全。街乗り不満なし、高速領域は…
排出ガスに尿素水溶液(アドブルー)を噴射し還元作用を発生させることで窒素酸化物(NOx)を削減する尿素SCRディーゼル排出ガス処理システム(ブルーテック)を採用。排ガス規制に適合する環境性能を実現した
不満があるとすれば、高速領域だ。一定速度でクルージングするような状況では申し分ない。けれども、こまめに加速するような場面が得意だった一方で、高速域までいっきに加速するような場面での伸びやかさでは、さすがにガソリンエンジンには及ばなかった。ここイッパツの速さという点でも、高速域になればなるほど重量を感じさせる場面が多くなりがちで、「やっぱり四発だからナァ~」と言い訳のひとつもこぼす。高速をかっ飛ばしたいオーナーには、CLSクラスなら最新の400か、Eクラスの六発ディーゼルターボ以上を選んで欲しい。
気になるディーゼル特有の“騒がしさ”についてはどうか。さすがにアッパーミドルサイズだけあってNVH対策も万全だ。E220のほうがいっそう静かだが、CLS220でも、車内にいる限り音や振動で他のパッセンジャーにディーゼルであることを気づかれる心配はほとんどないと言っていい。逆にいうと、車外で発進音を聞くと、イッパツでディーゼルのそれと分かる程度には、ガソリンよりもうるさい音がした。
実際、ミドルクラス以下でディーゼル導入が進まないのは、このNVH対策の面倒さにもある。その点、マツダが小型車にも果敢にディーゼルを搭載した勇気は、おおいに称えていい。もっとも、ボディサイズが効く遮音材や防振材による対策だけではなく、メカニズム的にも解決を図ろうとした点がマツダのエラいところだった。最近では、BMWの小型車用ディーゼルもまた、随分と静かになってきている。
CLS220に話を戻すと、全体的にはCLSクラスとしての乗り味が、きっちり保たれている。電子制御エアマチックサスによる粘っこいライドフィールは、相変わらずクオリティの高いもので、適度にスポーティさもあり、好印象だった。低速域における、やや突っ張った感覚は、その反作用かも知れないが、それがハナにつくようであればEクラスを選んだ方がいいということだろう。
CLSクラスの身上は、あくまでも、4枚ドアモデルでありながら、スタイリングとリンクするスポーティな走りにこそあるのだった。