”なでしこ歴10年”の佐々木監督
若年層と呼ばれる年代別代表で経験を積み、2008年1月からはなでしこジャパンのコーチから監督へ昇格する。この年の佐々木監督は、なでしこジャパンで北京五輪、20歳以下日本代表でU-20ワールドカップと、ふたつの世界大会で采配をふるった。北京五輪では過去最高のベスト4へチームを導き、U-20W杯ではベスト8入りを果たした。2年後のU-20W杯でもチームを率いた。
年代別代表で若い才能に早くから触れつつ、なでしこジャパンにコーチ、監督として関わることで、佐々木監督は選手の特徴はもちろんパーソナリティも把握することとなる。男子とは異なる女子選手のメンタリティも理解していく。
そうやって迎えたのが、2011年の女子W杯だった。大会前は一部の専門家にしか評価されていなかったなでしこジャパンだが、世界制覇の準備は着々と整っていたのだ。この大会に18歳で参加した岩渕真奈、20歳の熊谷紗希らは、佐々木監督のもとでU-20W杯に出場した教え子たちである。
2015年の女子W杯は、佐々木監督にとって3度目のW杯だった。監督としては2度目だが、2007年大会にコーチとして参加している。五輪も2度経験しており、通算5度目の世界大会だ。国際経験といえば、36歳の澤穂希やキャプテンの宮間あやがクローズアップされるが、指揮官が培ってきた経験もなでしこジャパンの強みである。世界大会を勝ち抜くために何が必要なのかを、佐々木監督はピッチの内外を問わずに熟知している。”なでしこ歴10年”の厚みは、チームの大きな財産だった。
未知の領域をくぐり抜けた「経験」
カナダで行われた今回のW杯では、グループリーグでメンバー全員を起用した。これもまた、佐々木監督ならではの采配だ。今大会は参加国が「16」から「24」に増え、1チームの最多試合数が「6」から「7」に増えた。グループリーグの3試合に加えて、ラウンドオブ16、準々決勝、準決勝、決勝の7試合を戦い抜いたチームが、世界女王の称号に輝く。
女子サッカーの国際大会で最多試合数が「7」となったのは、今回が初めてである。未知の領域をくぐり抜けるために、佐々木監督は選手を使い分けたのだ。
アメリカとの決勝戦は、開始16分で0対4の大差をつけられる苦しい展開となった。だが、選手たちは最後まで戦い抜いた。走り続けた。蓄積疲労を感じさせることがなかったのは、佐々木監督のマネジメント力のおかげである。
ひるがえって、男子の日本代表はどうか。