変化すべきときは「今の当たり前」を尊重しない
人生においては、何度か「変化」が必要になるときがやってきます。仕事でいえば「人事異動」で違う部署に移ったり転勤になることは大きな変化です。管理職になって部署全体のマネジメントを意識した仕事をするようになることも激変のひとつです。そして、今と違う会社に移る「転職」は当然ながら大きな変化といえます。このとき、「転職」というキーワードについては、「今の当たり前」を大事にしすぎて判断を間違えないようにする必要があります。もちろん、転職というチャレンジの不確定要素と現状の安定要素(このまま得られる条件)を天秤にかける必要はあり、「今」は比較するべき前提です。
しかし、あなたの年収が相対的に低かったり、今後上昇の見通しが高くないのであれば、転職について慎重になりすぎると、チャンスを逃してしまう恐れがあります。むしろ積極的に新しいことを受け入れるほうがいいのです。
筆者はよく転職のキーワードとして「職場環境(人間関係の心地よさ)」と「仕事のやりがい(今の仕事の楽しさやラクさ)」を理由に転職を思いとどまらないようアドバイスしていますが、これらの「今の当たり前」をキープすることで、「お金(年収)」の増えるチャンスを見逃していいのか、じっくり考えてみるべきです。
40歳の段階で「今」と「当たり前」を優先したことで、実は残りの人生において年間100万円の年収プラスを生み出すチャンスを見送っていたとしたら、生涯賃金では2000万円の損をするということです。30歳で同じ決断をしたとすれば3000万円になる計算です。
転職がうまくいくと、年間100万円ではなく、200~400万円以上の差を生み出すこともあり、こうなればそれこそ1億円の差が「今」と「新しい世界」の差になるかもしれません。
それでもなお「今」と「当たり前」の心地よさを選ぶべきかは考えてみる必要があります。
転職活動の最大のハードルは「自分自身の思い込み」
転職はいつも考えるものではありません。会社員として働く長い時間のほとんどは、今の会社でのがんばりに費やすべきです。しかし、人生においては何度か転職を考えることがあります。たとえば、
会社で自分のできる仕事がもう自分を伸ばしてくれず、かつ新しいことを何もさせてくれない場合、
今の会社の業績が急降下したタイミングに自分の能力が伸びてきている場合(本来年収が上がるはずがチャンスを逃す)、
会社の規模が小さく、自分の伸びてきた能力に見合う給料を払う余裕がない場合、
上司とのそりが悪く、どう考えても自分の能力に見合う評価が今後も得られない、つまり足踏み状態にさせられている場合、
自分のやりたい事業を会社が縮小・撤退することになり、自分の興味のないことしかやれない場合、
などは「今」にとどまる必要はありません。転職を考えるにいいタイミングですし、どんどん飛び出していけばいいのです。
「転職なんて難しいかも」と思うことこそが自分を小さな枠に当てはめている状態であり、もったいないことなのです。
転職の最大のハードルは「一回目」です。一度転職をした人は自分の評価と会社の評価のズレを意識できるようになりますし、経験者として二回目の転職も余裕をもって行えるようになります。
しかし、最初だけは誰でも慎重になってしまうものです(人生最初の告白とか、人生最初のバイト応募のときに、何度もためらったりするようなものです)。だからこそ、私は少しだけあなたの背中を押してみたいと思います。
「今」に飽きたまま同じ日を繰り返すより、新しいチャレンジをしてみてはどうでしょうか。