コルクフローリングは柔らかい素材。ですから子どもが転んでもケガをする可能性が低くなり安心です。ただ、その一方で汚れやキズがつきやすい素材ですから、この素材にはシリコン加工がされていました。
【写真2】は1階や3階に使われているフローリング材。こちらは一般的な木材のフローリング材にコーティングを施して滑りにくくした上で、水をはじくなど掃除がしやすい素材となっていました。
下の【写真3】は階段の様子。中型犬はもちろんですが、小型犬でも自分で上り下りできるような設えです。踊り場もあるため、勢いよく下ってもケガの発生を少なくするよう配慮されています。
で、ここで考えて頂きたいのが、このような配慮を行うことで、犬だけでなく人間にとっても安心・安全な住まいとなるということ。階段の傾斜が緩やかで踏み板も大きく、滑りにくいコルク素材を使うことにより、将来、皆さんの身体機能が衰え、足腰が弱くなっても安心して上り下りできます。
また、先ほどの2階のフローリングのような柔らかい素材を使うことで、例えば小さな子どもがいらっしゃるご家庭の場合、子どもの安全を確保することにもつながります。ちなみに、この建物は、子育て中の共働き家族が暮らすことを想定しているそうです。
さて、1階とお庭を見てみましょう。【写真4】がドッグラン。室内外の犬の場合、運動不足になりがちですから、このようなスペースがあれば自由に走り回れます。芝生とウッドチップがしかれていますから、安全性にも配慮されていました。
【写真5】はドッグランにつながるウッドデッキで、その奥には脱衣場と浴室などがあります。脱衣場のスペースは広めに取られていますから、仮にお風呂で犬を洗う場合にも作業しやすくなっています。
使ったフキンは脱衣場の洗濯機などで洗うので、フキンを取ったり片づけたりするためにいちいち移動しなくてよく、そのための時間を短縮できるわけです。子育て共働き家族が暮らすわけですから、そのための家事動線短縮のためのアイデアです。
このほか、各階に水飲み場を人の暮らしに邪魔にならないよう配置したり、脱臭素材の壁紙の採用などが目につきました。要するに犬の習性も含めたペットの専門家のアイデアと、住まいとしての機能性や安全性への配慮に詳しい住宅会社のノウハウが各所にみられたということです。
今回の建物を見学して強く感じられたのは、「犬と暮らすための家」というと、犬の立場ばかりを優先してはダメだということ。人の快適性とのバランスも重視すべきだということです。
将来的には犬が亡くなっていなくなることだってあるわけですし、その時の暮らしも考慮に入れたいものです。なお、「犬と暮らすまちなかジーヴォ」については、こちらで建設の経緯などが紹介されているので参照してみてください。