生産性の向上がiOS 9のポイント
タブレットの利用スタイルは、Appleがつくりだし定着させたと言っても過言ではありません。この張本人が今秋リリース予定のiOS 9で再定義しようとしています。ポイントは「生産性の向上」で、キーとなるのが「マルチタスク」と「キーボード」。順にご紹介していきましょう。iOS 9のSplit View。2分割した画面で、同時にアプリが動く
マルチタスクに関しては、3つの新機能が用意されています。
ひとつめは、画面を2分割できる「Split View」機能です。この機能は画面を分割して、それぞれにアプリが表示できます。また、それぞれのアプリは独立して動作します。
ふたつめは、アプリが小さなウインドウになってディスプレイの隅へ移動する「ピクチャー・イン・ピクチャ」機能です。これは、テレビの子画面機能のようなもので、動画再生中にホームボタンを押すと、再生中の動画が画面隅に移動して、ふたつめの新たなアプリを起動しても動画再生が続きます。
最後は、いま使っているアプリをそのままにして、ふたつめのアプリを起動できる「Slide Over」機能です。これは、いま使っているアプリを終えることなく、画面のサイドにアプリを引き出して、使い終わったらスライドして片付けてもとのアプリに戻る機能です。
キーボードにも3つの新機能があるので順にご紹介しましょう。
ひとつめは、iPadのソフトキーボードがトラックパッドのように使える機能が搭載されます。これは、ソフトキーボードのどこかを2本の指で触るとキーボードの表示が薄くなり、トラックパッドのように使えます。タッチ操作では面倒だったカーソル移動やテキストの選択・編集、移動が可能になります。
ふたつめは、ソフトキーボードの上部にショートカットバーが設けられます。ここに、カットやコピー、貼り付けのコマンドを実行するボタンが追加されます。
最後は、ハードウエアキーボードのサポートの強化です。たとえば、これまで限定的だった操作範囲が広がり、ショートカットキーを使ってアプリの切り替えや検索機能の呼びだしが可能になります。
iOS 9がタブレットを再創造する
iOS 8では、ひとつのアプリが動くだけでしたが、iOS 9では画面を2分割して同時に2つ動かすことができます。iPadがPCのような側面を持つようになり、専用機から汎用機に変貌して、より高い生産性を身に着けた道具になろうとしています。iPadは、ビジネスの場でも使われるようになった
ただし、PCほどの汎用性はなく「ほどほど」なようにも見え、高度な使い方に耐えるだけの懐の深さを持っているのかは気になります。
「ほどほど」のさじ加減が絶妙であれば、アラン・ケイが提唱した「ダイナブック」のように、真に身近なコンピュータとなりタブレットだけではなくPCの定義を変化させることになるのかもしれません。
iOS 9のリリースと同時に、ご紹介した新機能に最適化されたiPadが登場することが予想されます。今秋のリリースがいまから楽しみです。