「水頭症」とは
「水頭症」はなんらかの原因で髄液の循環、吸収障害が起き脳室が拡大した病態です。小児にも成人にもみられます。髄液は脳室とクモ膜下腔を満たす無色透明な液体で、ほとんどが水分・糖分・電解質・細胞成分で構成されています。脳の中央に脳室と呼ばれる空間があり、髄液という液体で満たされています。
上の図では側脳室という場所で髄液が増加し、水頭症となっています。脳室は水分を貯留している1つのスペースですが、場所により様々な名前がついています。
脳室にはいろいろな名前がついています。
水頭症では脳室が拡大しますが、その中でも側脳室の拡大が目立ちます。
水頭症の分類
- 非交通性水頭症:髄液の流れが停滞して発生する水頭症
- 交通性水頭症:髄液の生産過剰、吸収障害で発生する水頭症
- 正常圧水頭症:交通性水頭症のなかでも脳圧がほぼ正常に保たれている水頭症
水頭症の年齢、性差
小児の場合、生まれつきの先天的な疾患として脊髄髄膜瘤、脊髄破裂などに合併して発生します。大人の場合、脳腫瘍、くも膜下出血などの後に発生することがよくあります。
水頭症の症状
小児の場合、頭の大きさが拡大します。知能の発達の遅れがみられることもあります。頭痛、嘔気などの症状も出現します。大人の場合、尿失禁、歩行障害、認知症などの症状がみられますが、単なる老化現象と診断されると治療が遅れることとなります。
水頭症の診断
■CT認知症が出現したり、頭痛、吐気などがみられたらCTは有力な診断ツールです。
頭部単純CT像。
髄液が側脳室に貯留し、側脳室は拡大します。
■MRI
脳組織そのものを診断するにはMRIの方がより細かく観察できます。
頭部単純MRI像
MRIでは脳室以外の脳の構造がより明瞭に診断可能です。脳組織が髄液の圧迫で厚みが薄くなっていることがわかります。
水頭症の治療法
水頭症の治療としてシャント手術、開窓術があります。■脳室腹腔シャント手術
全身麻酔下に、側脳室にチューブを入れ、バルブを介してチューブの先端を腹腔に留置します。1時間程度の手術です。
シャント手術
側脳室の髄液を腹腔内に流します。バルブがあるので腹腔から脳室に髄液が流れることはありません。
■開窓術
非交通性水頭症の場合、閉塞した部位を切除することで水頭症が治ります。