驚きの「サーキットが楽しいレンジローバー」
スタート地点はサーキットのピットだった。ピットでインストラクターを隣に乗せ、サーキットをいったん出て、オフロードコースへ向かう。ランドローバー&レンジローバーといえば、世界随一の走破性を誇るクルマでもある。
だから、オフロードコースに向かうのは、この手の試乗会の場合、毎度のことだから珍しくない。ただ、いつもと違っているのは、乗っているクルマが、バケットタイプのスポーツシートを前後にしつらえ、21インチのオールテレインタイヤを履き、獰猛な顔つきをしたレンジローバー・スポーツの高性能版であるというだけ。
インストラクターの指示どおり、いったん停止ののち、ローレンジに。慎重に、ぬかるんだ道、がれきの道など、道無き道を想定したオフロードコースをゆっくりと、けれども確実に進んでいく。林を抜けると、そこに鉄製のスロープが用意されていた。ゆっくりと登って、停止。すると、スタッフが高圧洗車ガンをもって現れた。あっという間に下回りの洗浄完了。
そうしておいて、なんとそのままサーキットコースへと進入するようインストラクターがのたまった。そして、一周のコース下見を終え、いきなり全開走行を試す!
ジャガー譲りの550psエンジン。パフォーマンスは圧巻のひと言だ。すさまじいエグゾーストノートを響かせる。シャシーは的確に舗装路を捉えて、スポーツカーのようなハンドリングをみせる。標準のオールテレインでもタイヤを滑らせつつ、正確な電子制御で、見事なライン取りをみせる。オプションの22インチ高性能タイヤなら、もっとガンガン攻め込めただろう。サーキットが楽しいレンジローバーなんて想像すらできなかったから、驚きも数倍だ。
しかも一般道でのマナーは、まるでレンジローバー。乗り心地もすこぶるいい。より足元が引き締まっているぶん、ノーマルより、ひょっとしていいんじゃないか、と思ったほど。
街乗りからスポーツ走行、そしてオフロードまで。無敵の1台だ。