チョイスに個性
世の中には、八木さんの作品に似ているものをすでにつくっている人もいます。しかし大切なのは「美術の文脈を読むこと」。つまり「美術というジャンルの中で、作品を見ること」が大事なのです。そうやって見ると、八木さんの作品は八木さんしか手がけていない、作品を「オリジナル」と呼ぶことができます。実際、作品をいくつか見ていると、やはり個性や独特の面白さを感じます。
たとえばこれ。たこ焼き器にパソコンがくっついた?という風にしか見えませんよね。
《Takoyaki Sequencer w/ Takehisa Mashimo》2014年 たこ焼き器、PC、ウェブカメラ、アームライト、スピーカー
いえいえ、れっきとした八木さんのアート作品です。たこやき器の上に設置したカメラが、ランダムに置かれたたこ焼きの配列を読み込み、その配列によって音が生まれ、メロディが流れます。
「機械のつかいかた、音の選びかたといったチョイスに『八木良太らしさ』があるのでしょう」
八木さんはこの作品で、実際にたこ焼きを焼きながら音を出す、というパフォーマンスもしているそうですよ。
大学教員とアーティストの二足のわらじ
八木良太さん
八木良太 展覧会情報
「ザ・コンテンポラリー1 われらの時代:ポスト工業化社会の美術」
金沢21世紀美術館
2015年4月25日(土)~8月30日(日)