年間収入は減少しているが貯蓄現在高は増加
2人以上世帯における2014年1年平均の1世帯当たり貯蓄現在高(平均値)は、1798万円で、2013年と比較して59万円、3.4ポイントの増加となりました。直接比較可能な2002年以降では最高額となりました。貯蓄保有世帯全体を二分する中央値は1052万円と前年比2万円の増加となりました。貯蓄現在高、中央値共に前年と比較して増加となったのですが、年間収入は614万円で、前年と比較して2万円、0.3ポイントの減少となりました。年収が減少したことから、貯蓄年収比(貯蓄現在高の年間収入に対する比)は292.8%となり、前年と比較して10.5ポイントと大幅に上昇しています。
このうち勤労者世帯(2人以上世帯に占める割合51.5%)についてみると、貯蓄現在高の平均値は1290万円で、2013年と比較して46万円、3.7ポイントの増加となりました。中央値は741万円、前年比で6万円の増加となっています。また、年間収入は702万円で、前年と比較して6万円、0.8ポイントの減少、貯蓄年収比は183.8%で、前年と比較して8.1ポイントの上昇となりました。
2人以上世帯の貯蓄現在高階級別の世帯分布をみると、平均値である1798万円を下回る世帯が67.6%と前年より0.4ポイント減少していますが、全体の約3分の2を占めていることから、世帯分布は貯蓄現在高の低い階級に偏っています。
貯蓄現在高が最も少ない100万円未満の階級が、2人以上世帯に占める割合は10.3%となっており、前年と比較して0.3ポイントの上昇となりました。このうち勤労者世帯についてみると、100万円未満の階級が勤労者世帯に占める割合は12.4%で、前年と比較して0.4ポイントの上昇となっています。
2014年は持つ者と持たざる者の差がより開いた1年となったたようです。
普通預金、定期預金が大幅に増加
2人以上世帯について貯蓄の種類別に1世帯あたり貯蓄現在高をみると、定期性預貯金が758万円(貯蓄現在高に占める割合42.2%)と最も多く、次いで通貨性預貯金が380万円(同21.1%)、生命保険などが320万円(同20.6%)、有価証券が251万円(同14.0%)と続いています。このうち勤労者世帯についてみると、定期性預貯金が469万円(同36.4%)と最も多い点は変わりませんが、次いで生命保険など320万円(同24.8%)、通貨性預貯金が308万円(同23.9%)、有価証券が136万円(同10.5%)となっています。
種類別の貯蓄現在高に驚きはありませんが、増加率をみると意外な面が見えてきます。2人以上世帯では、最も増えたのが株式などを含む有価証券と思われますが、最も増えたのは普通預金などの通貨性預貯金で6.7ポイントの増加。次いで定期性預貯金の4.7ポイント増加、3番目が有価証券の4.6ポイント増加となっています。このうち勤労者世帯では、最も増えたのが有価証券の17.2ポイント増、次が通貨性預貯金の4.4ポイント増加、定期性預貯金の4.2ポイント増加となっています。
普通預金を含む通貨性預貯金が低金利にもかかわらず大幅に増加しているのは、昨年、個人投資家は株式を大きく売り越したことから、売却代金などが普通預金に滞留したことになどがその背景にあるのかもしれません。
勤労者世帯の負債は過去最高
貯蓄現在高が過去最高を更新しましたが、勤労者世帯の負債額も比較可能な2002年以降過去最高額となっています。2人以上世帯における2014年平均の1世帯当たり負債現在高(平均値)509万円で、2013年と比較して10万円、2.0ポイントの増加となりました。このうち勤労者世帯についてみると、負債現在高は756万円となっており、前年と比較して16万円、2.2ポイントの増加となっています。
負債年収比(負債現在高の年間収入に対する比)をみると、2人以上世帯では82.9%と前年と比較して1.9ポイントの上昇、勤労者世帯では107.7%と前年と比較して3.2ポイントの上昇となっています。背伸びをした負債を抱えていないことを願うばかりです。
ただし、2人以上の負債保有世帯に限ってみると、負債現在高の平均値1349万円を下回る世帯が57.4%を占めています。このうち勤労者世帯についてみると、負債保有世帯の負債現在高の平均値1428万円を下回る世帯は53.8%と共に半数を上回っていることから、過度に無理な負債を抱え込んだわけではないと考えられます。