毎年4月に開催される国際家具見本市「ミラノサローネ」。ロー・フィエラの展示会場をはじめとして、ミラノ市内のショップや展示コンセプトにそった会場で 様々なプレゼンテーションが行われ、街中がデザインムードでいっぱい。そんな多彩な展示の中から、ガラス素材が暮らしを変えるという提案をご紹介します

旭硝子が提案するガラスと情報の一体化

高 温の窯で溶解されて出来上がったガラスは、硬くてひんやりと冷たい感触。そのガラス(glass)を使って、AGC旭硝子は氷河のような空間に情報 (information)を映し出す、「GLACIER FORMATION」(AGCによる情報との新しい関係)を提案。まるでイリュージョンの世界に迷い込んだような空間展示です。

高さ3 メートル、100枚のガラス、プロジェクター7台、30台のモジュールLED、3台のLED投光器を使って、ガラスに映像を投影しています。ガラスに特殊加工を施すことにより、透明なのに映像が投影できるという新製品「Glascene(グラシンーン)」。普段は普通のガラスのように使っていても、映像を映し出す と鮮明度が際立つという優れた加工技術によるものです。

 氷河のようなガラススクリーン。スーパースタジオ・ピュー内 セントラルポイント(トルトーナ地区) FUORIMILANOでの展示(2015年4月14日から19日)

デジタルサイネージ

100枚のガラスを使った空間構成。空間デザイン:ARTENVARCH(アーテンバーク)川島範久 佐藤桂火 演出・テクニカルディレクション:LUFTZUG(ルフトツーク)遠藤豊 映像デザイン:qubibi(クビビ)勅使河原一雅 (Photo: Takehiko Niki)

新製品「Glascene(グラシーン)」と「infoverre(インフォベール)」を使った空間展示では、従来のデジタルサイネージの概念を超えて、ガラスによる「情報と空間の新しい関係」を提案しています。
AGC旭硝子の新製品グラシーン
AGC旭硝子の新製品グラシーン

「Glascene(グラシーン)」:画像を背景と重ねて表示。販促用サイネージ、交通機関向けサイネージ、電車車両内サイネージ、美術館向けサイネージ等で利用できる(画像:AGC旭硝子)

インフォベール

「infoverre(インフォベール)」:ガラスに液晶ディスプレイを直接貼る技術((画像:AGC旭硝子)

「Glascene(グ ラシーン)」は、プロジェクターと組み合わせて画像表示ができる透明ガラススクリーンで、「infoverre(インフォベール)」は液晶ディスプレイを ガラスにシームレスにつなげる技術で、クリアな映像が宙に浮いているような表現が可能。建築物の外装ガラス、ショーウィンドウ、パーテションなどでの活用 が広がるというものです。

暮らしの情報がガラスに映し出される

私たちの住まいにとって、窓ガラスは欠かせない素材です。採光、眺望、断熱といった機能面に新たに加わるのは、ディスプレイ画面になるということ。窓や間仕切りガラスが画面として使えるようになると、壁掛けテレビが要らなくなります。
デジタルサイネージ

情報化された家の中で暮らすようになる?「『私』は、ある時は情報を引き出し、ある時は情報の中に溶け込んでしまう。(空間デザインコンセプト文より引用)」(Photo: Takehiko Niki)

これまでのガラスが果たしていた役割は、視覚的なつながりによる開放感と眺望。今回の新たなガラス加工技術 よって、ガラスを通して景色を眺めるだけではなく、遠くに住んでいる家族が、ガラス越しに食卓を一緒に囲んでいるかのように会話と食事が楽しめる。そんな過ごし方が、ごく普通の家庭で行われるようになるかもしれません。
HOUSE VISION2013

左:屋内と屋外をつなぐ窓 室内なのに屋外にいるかのような開放感があるLIXIL×伊東豊雄「住の先へ」 右:寝転んで映画を観るのはソファの上だけとは限らない リビング×バスルーム 蔦屋書店×東京R不動産「編集の家」HOUSE VISION 2013より

さらには、明るく快適なガラス張りの浴室には、デジタル棚が映し出されて、そこから観たい映画や読みたい書籍が選べる、クローゼットのガラス扉には、今日の天気予報とクラウドにあるワードローブデータが映し出され、スタイリストから送られてくるコーディネートを参考に服選びをする。ガラスの扉や壁はタブレットと同じようにタッチパネル操作ができる。そんな装置と収納アプリの登場に期待が集まりそうです。やがて、住まい自体が大きなタブレットのようになって、その中でアプリに囲まれた私たちが暮らすようになるのでは?

「新 しい常識で都市に住もう」を理念とするHOUSE VISIONの展覧会が、2013年に開催されました。会場として屋外のオープンスペースが使われ、これからの日本の暮らしの形を、具体的な住まいに落とし込んだ7 棟が公開されたのです。

そのHOUSE VISIONによれば、日本のものづくりを背景に住まいが総合家電になると言います。展覧会開催の2013年以降、スマートフォンやクラウドなどITが急速に進化普及し続けているなか、住まいは情報家電化の方向へとより一層進んでいくことでしょう。

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