アレルギー表示が変わります
食品を買うとき、何を見て買っていますか? 確認するポイントは商品名や写真だけではありません。食品表示には重要な情報が書かれています。
しかし、何よりも重要なことは「特定加工食品及びその拡大表記」が廃止されることです。
例えば、以前はパンが材料に含まれていれば、「小麦を含む」と記さなくても、小麦は含まれているものと解釈されていました(パンを作る際には小麦粉が必要なので)。ところが今回の改訂ではこれが廃止され、パンを使った場合も、小麦を含むことを表示することとされました。
これによって、小麦アレルギーを持つ人は「小麦」という文字を探せばよいことになります。アレルギーのあるお子さんのいる家庭などでは、安心感が増すのではないでしょうか。
加工食品の栄養成分表示が義務化されます
栄養成分というと、エネルギー・たんぱく質・脂質などのさまざまな成分が知られています。そのうちエネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・ナトリウム(食塩相当量)の5つを包装容器に入れた加工食品に表記することになりました。ただし、包装用紙の小さいもの、酒、栄養の供給源としての寄与の程度が小さいもの、きわめて短期間で原材料が変更されるもの、小規模事業者が販売するものなどは栄養成分が省略される場合もあります。
栄養成分表示はこれまでも任意で表示されていましたが、義務化されることで、健康的な食事を選びやすくなると思います。
機能性表示制度が創設されます
また、新しく「機能性表示制度」が創設されました。機能性表示とは「“特定の保健の目的が期待できる”という食品の機能性を表示することができる」ことを意味しています。保健の目的とは、健康の維持および増進に役立つこと。平たく言うと「これを食べると、○○に効果があります」と書いてもよいということです。ここで「トクホと何が違うの?」と思った人がいるかもしれません。トクホは消費者庁長官の個別の許可を受けた商品ですが、機能性表示制度は個別の許可を受けていません(届出は必要です)。機能性表示食品の安全性や機能性に関する科学的根拠は消費者庁のウェブサイト等で公開されたものを利用し、機能性を表示するかしないかは業者の良心に任せられます。そのため、危険なのではないか?という声も多く寄せられています。
実際問題として、トクホは取得のための研究費として数千万~数億円のお金が必要でしたので、大企業しかトクホをとることができませんでした。しかし今回の機能性表示制度では、「保健の目的が期待できる成分」が入った食品を売り出す場合、中小企業もその旨を記載してよいことになります。中小企業にとってはありがたいシステムかもしれませんが、その“商品ごと”の科学的根拠が乏しいので、消費者の立場ではそんなのもあるのね、といった程度で受け流すのがよいように感じます。
「○○に効果がある」と書いてあっても、疾病の診断・治療・予防を目的としたものではなく、疾病に罹患している者・未成年者・妊産婦(妊娠を計画している者を含む)および授乳婦を対象に開発された商品ではありません。健康づくりのためには、十分な睡眠と運動、バランスのよい食事が基本になります。機能性表示食品に頼りすぎず、自分自身の食生活を見直すことがなにより大切です。
食品表示を正しく理解し、食生活を見直すきっかけづくりに役立てて下さい。