もちろん銀行にも「コスト」がかかっている
もちろん、単純に「2%マイナス0.02%」が銀行の儲けというわけではありません。銀行にもいろんなコストがかかっているからです。店舗の維持費用などはとてもお金がかかります。銀行は一等地にあることが多いので、土地の値段もかかりますし、セキュリティも万全にしておかなければなりません。
最近ではATMの設置を増やしていますので、設置・維持費用などもかかります。預金の残高がエラー表示されることも絶対にあってはならず、金融システムの管理にもお金を回す必要があります。
銀行の職員の給与も払わなければなりません。ひとつの支店にも何十人の職員が働いていますし、銀行全体ではたくさんの人が働いているため、お金が当然かかります。
貸したお金が戻ってこないリスクも織り込む必要があります。確率が低くとも、つぶれる会社があればお金が戻ってこないことになってしまいます。
「2%マイナス0.02%」つまり「1.98%」が儲けとなるわけではなく、実際にはもっと低いわけです。ただし、その具体的な水準は預金者に説明されるわけではありません。ただし、少なくともいえることは「実際の銀行の儲けは0.02%よりは高い」ということです。
むしろ投資は「手数料が明示」されている、良い仕組みである
そうやって考えてみると、投資は手数料が別に取られるのではなく、「手数料は予め明示」されているともいえます。株価が下がったときなど値下がりすることはあるものの、保有している株式数や投資信託の口数を勝手に証券会社が持ち去ることはありません。証券会社が顧客から儲けることができるのは、手数料を取るときだけであり、手数料を取るときは予め条件や手数料率が示されています。たとえ株価が2倍(つまり200%!)になったとしても、その儲けは顧客のものであって、証券会社が中抜きすることも許されません。
もちろん、運用がうまくいかなかったときは、損失をひとりで抱え込まなければなりません。証券会社は損失を補てんしてはいけません。
しかし、投資は銀行の預金とは違うルールがあって、むしろそのルールはきっぱりとしている部分もあるわけです。要するに「全部、丸見え」であり「手数料については透明」である、ということです。
銀行預金と投資、どちらもバランス良く利用する
誤解をしてほしくないのですが、ここで「預金ではなく投資をしなさい」というつもりはありません。むしろ「投資と預金、バランス良くつきあいなさい」というのが筆者の考え方です。預金は手数料は込み込みになっていて、銀行の実際の儲けより低い利回りしか私たちに与えてくれません。しかし、元本割れすることはありません。
投資は、手数料は別枠として区分されており、高いか低いかはっきり判断できます。しかし、実際の儲けも損失も自分のものとして帰属することになり、損したときは大きなマイナスもありえます(逆にうまくいけば高い利回りを享受できます)。
どちらが正しいとか優れているとか議論をし始めると、私たちは冷静さを失いますし、最後は自分の好みのほうに肩入れするだけの結論になってしまいます。
冷静に、かつ正確に、それぞれの特徴を理解し、使い分けていくことが大切です。