なぜ薬の効きめに強弱が?
なんとなく聞いたことがある食べ物と薬の相性。具体的には、何がよくて、何がNG?
それは薬の成分が溶け出して食べ物と混ざったとき、薬の成分が変化したり、吸収が早くなったり、遅くなったりしてしまうためです。また少し難しくなりますが、薬は肝臓で代謝されて効果を発揮し、その後排泄されます。しかし、その食べ物自体が薬の代謝を促進したり、抑制したりすることがあるのです。結果、薬の血中濃度が変わり、効果に強弱が出てしまうのですね。
ただし、すべての薬に起こることではなく、それは一部の薬。気をつけたい飲み合わせの代表的なものだけでも知っておくと安心です。以下にまとめたので、ぜひご覧ください。
グレープフルーツ
グレープフルーツは「フラノクマリン」と呼ばれる天然物質を含んでおり、薬の代謝に大きく関係する酵素の働きを抑制します。この酵素が抑制されると薬が体内で吸収されやすくなり、結果、薬の効果が強く出てしまうのです。場合によっては、副作用を引き起こすことも。高血圧治療薬(カルシウム拮抗薬)、抗不整脈薬、脂質異常症治療薬、抗不安薬、睡眠導入剤、抗てんかん薬の一部で影響を受けるという報告があります。また、その影響を引き起こすグレープフルーツの摂取量は、薬の種類や個々人によって著しく異なるため、一概に判断はできません。
なお、上記の薬の中でも影響を受けない薬もあり、もし心配であれば医師や薬剤師に「グレープフルーツを食べても大丈夫な薬はありますか?」と聞いてください(「グレープフルーツと薬、気になる飲み合わせ」には影響を受ける薬・受けない薬を一覧としてまとめています)。影響を受けない薬を紹介してくれるはずです。グレープフルーツをはじめとした柑橘類が好きな人は、遠慮なく相談してみてくださいね。
炭酸水など、酸性の飲み物
酸性の飲み物と胃酸を中和させる制酸剤(炭酸ナトリウムなど)と呼ばれる成分を含む胃薬(市販薬に多い)を一緒に飲むと、胃酸を中和させる前に反応が起こってしまうため、薬の効果が期待できなくなります。カフェイン(特に過剰摂取)
風邪薬、鎮咳去痰薬、乗り物酔いの薬、痛風治療薬、骨粗しょう症の薬の一部とコーヒーなどを一緒に飲むと、胃の痛みや吐き気、頭痛、動悸といったカフェインや含まれている成分(キサンチン系)の副作用が強く出ることがあります。これらの薬を飲むときには、コーヒーやドリンク剤などをたくさん飲まないようにしてくださいね。高脂肪食
薬によっては、油に非常に溶けやすい成分を含むものがあります。一気に溶け出してしまって、効果が強くあらわれることも。最近流行りの糖質制限ダイエットの中には脂質を多く摂取することを推奨するものもありますが、服用する薬との相互作用を医師・薬剤師に確認するようにしましょう。アルコール
アルコールとの併用は、いずれの薬も絶対にダメ!!! 薬の作用が増強して副作用が出やすくなることがあり、アルコールで成分が変化してしまい、本来期待された効果以外の危険な作用があらわれることもあります。どうしても避けられない接待などでお酒を飲まなくてはいけない場合は、医師や薬剤師に相談してみてください。夜服用の薬を朝に変更するなど、飲み方を変えることで避けられる場合もあります。
その他
サプリメントなどでも相互作用が報告されています。有名なのは、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)。薬の効果が弱まることがあります。また、カルシウムのサプリメントでも一部の薬が吸収されにくくなったり、ビタミンDと薬の併用ではカルシウムの吸収が促進されすぎて、心臓への副作用が出ることもあります。サプリメントを服用している場合も、医師や薬剤師にぜひ相談してくださいね。
取材協力:フロリダ州政府柑橘局