古民家/古民家探訪

昭和初期の古民家を住宅兼事務所にリノベーション(2ページ目)

杉並にある和菓子店として昭和初期に建てられた古民家が、リノベーションされて自宅兼事務所として生まれ変わりました。そのお披露目の場があると聞いて、見学してきました。

山本 久美子

執筆者:山本 久美子

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古民家ならではのゆとり
築約80年の落ち着きが魅力

2階にお邪魔しましょう。
2階は寝室とリビング空間になっています。床は、すべて幅広の桐(きり)のフローリングです。かつての和室に残されていた欄間、床の間、床脇などが残されていて、不思議と落ち着ける空間となっています。床の間側の窓は、今の家では考えられない大きさの引き違い窓です。これは、外枠は以前のまま残し、ガラス戸の枠やガラス(省エネ性の高い複層ガラス)を交換して隙間風対策を施したものだそうです。古い家に特有の窓際の寒さは、すっかり解消されています。
2階寝室

美しい欄間も残されている

2階床の間

広めの床の間(左)と床脇(右)。床脇には違い棚の上下に2枚引き違い戸の地袋と4枚引き違い戸の天袋が造りつけられたもの

1階に戻って、古民家ならではのポイントを見ていきましょう。
1階のキッチン部分なども通常の家より天井が高いのですが、土間だった部分はさらに天井が高く、ソファに座るとなおさら高さを感じることができます。今はまだ予定がないそうですが、いずれはこのスペースでイベントやカフェを開くなど、さまざまな使い方を考えていきたいということです。
土間

土間部分の天井が高く、通りとはガラス戸で仕切られているため、相当な開放感を味わうことができる

実は筆者が見学中に、「杉並たてもの応援団」の方も見学されていました。外観がそのまま残されていて、特に建物の軒先の出桁(だしげた)など商家の典型的な構造が当時のまま維持されているので、「登録有形文化財」に申請してはどうかといったお話をされていました。古民家を取り壊さずに、しっかりとリノベーションして維持していくことは、街の財産を守ることにもなるのです。
出桁

商家(店舗兼住宅)建築の典型の一つで、軒が前面に大きく張り出した「出桁造り」になっている。出桁を乗せている腕木の先に銅板を張って耐久性も高めている

相原さん

相原まどかさん(YUUA建築設計事務所)

古民家での生活をスタートさせた相原さんは、「建築後約80年経つ住宅の風合いは落ち着きがあり、住んでみてさらにこの家が好きになりました。まだこの先も、暮らしに応じながら手を入れたいと思っています。」とのこと。古民家のリノベーションへのアドバイスとしては、どの程度間取りの変更が可能か、どういった木材がどのように使われているかなど、専門家でないとわからない点も多いので、まず専門家に相談することがポイントだと教えてくれました。
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